2011年6月18日土曜日

「App Storeはほとんど死んだ」——UEI清水氏

 通信キャリア各社がスマートフォンに注力し、モバイルビジネスの主戦場はスマートフォンへとシフトしている。スマートフォン向けアプリビジネスでは、「マーケットで容易にアプリを配信できる」「世界を相手にビジネスができる」といった魅力が語られてきた一方、「マーケットでアプリが埋もれる」「有料コンテンツが売れない」など、ビジネスの難しさも長らく指摘されてきた。

 「ひとつ確実に言えるのが、App Storeはほとんど死んだということ」——。6月10日に開催された「Interop Tokyo 2011」で、ユビキタスエンターテインメント(UEI)の清水亮代表
取締役社長と、クウジットの開発部 シニアアーキテクト、三屋光史朗氏らが「スマートフォンアプリ時代のビジネス戦略」と題した講演を行った。清水氏はアプリマーケットが置かれた厳しい状況を指摘し、その中で「小さい会社ながら億単位で稼いでいる」という同社流のビジネス戦略を説明。三屋氏は、同社が注力するユーザーの位置や行動と連動したサービスへの期待を語った。

「子ども食い」が始まったiOS——「残るのはエンターテインメント」
 ユビキタスエンターテインメントは2003年8月に設立し、モバイル向けサービス/ソリューションを中心に事業を展開。2008年にiPhone向けアウトラインプロセッサ「ZeptoLiner」やノートアプリ「Zeptopad」を開発するなど、早くからスマートフォン事業に着手している。

 テクノロジーの変化の節目に起こる「ソフトがない状態」を先取りし、サービスを放つのが清水氏の考える成功の1要素。そのため、同社ではR&D活動に力を入れており、これまでも研究成果を生かしたプロダクトを展開してきた。例えばZeptopadは、iPhone登場以前から着目していたマルチタッチUIを積極的に取り入れたことで、App Storeのトップセールスにランクインしつづけるなど
好評を博したという。さらにこの春には、大学生を中心とした研究開発部門「秋葉原リサーチセンター」(ARC)も立ち上げ、さらに活動を推進する考えだ。

 先端技術を追いかけつつ、長年スマートフォンのアプリビジネスを見てきた清水氏だが、その現状に対しては厳しい考えを示す。「ひとつ確実に言えるのが、App Storeはほとんど死んだということ」(清水
氏)。「iOSはiOS 4でほとんど進化が止まっている。次に起こるのはカニバリズムというか、子ども食いのような考え方。自分たちのマーケットにある"美味しそうなアプリ"の機能をOSに取り組んでいく」(清水氏)

 6月のWWDC(Appleの開発者会議)で発表されたiOS 5には、ロック画面から素早く利用できるカメラ機能やTwitter連携機能、クラウドを使ったコンテンツ共有機能などが追加された。こうした新機能は、例えば高速起動を売りにするカメラアプリや各種のTwitterアプリ、Dropboxなどのクラウドアプリを不要にする要因になりかねない。人気の高いサービスがAppleに"回収"されてしまう状況は、サードパーティーにとって厳しいものだ。

 この事態は清水氏にとって既視感のあるものでもある。「昔はマイクロソフトがやっていたこと。CD-Rの書き込みソフトが売れていた時に、それがOSの機能として組み込まれた」(清水氏)。さらに、「生き残るのはゲームもしくはエンターテインメントだけだと思う」(清水氏)とも。「現状では(UEIは)あまりエンターテインメントをやっていないが、最後に残るのはエンターテインメントだと思っている。社名にもその思いがこもっている」(清水氏)

 さらに、iOSの対抗馬として期待されているAndroidに対しても、「Androidマーケットはいまだに壊れている」と清水氏は悲観的だ。「有料アプリの多くが100ダウンロードに満たないという調査もある。これでは学生のバイト代にしかならない」(清水氏)。

 Androidマーケットは登場した当初、ランキングをはじめとする回遊性向上の仕組みがなかったり、24時間返品ができるためにコンテンツの"タダ読み"が成立してしまったりと、いくつかの課題を抱えていた。Googleはマーケットを徐々に改善しているものの、清水氏にとっては積極的にアプリを配信したい状況にないようだ。

 同氏はむしろ、通信キャリアが用意する独自マーケットに期待を寄せている。「今年の年末から来年にかけて、"日の丸キャリア"が独自の課金手段などを整備した"正しいAndroidマーケット"を用意してくれることに期待する」

UEIの戦略は「ソリューション」と「ゲーミフィケーション」

 こうした中で、同社はアプリビジネスをどのような戦略で展開しているのか——。清水氏は「ソリューション」「ゲーミフィケーション」という2つのキーワードを掲げ、戦略を説明した。

 ブランディングや自社製品の販促などを目的に、独自アプリの開発を検討する企業は少なくない。同社は研究開発のノウハウを生かしながら、企業のニーズに応えるアプリの開発やミドルウェアの提供を行っている。

 例えば、経済産業省の実証実験と連携して提供したARアプリのノウハウを生かし、オリックス自動車のカーシェアリングアプリを開発。ARの目新しさもあって、カーシェアリングの会員登録が2倍に伸びるなどの効果が出たという。その後、ARアプリ開発ミドルウェア「ARider」をリリースし、みずほ銀行のアプリに採用された。

 「スマートフォン向けソリューションはこれからもっと活躍していく。フィーチャーフォンより自由度が高く、Androidではホームスクリーンなども変えられる。企業内で閉じたサービスなど、B2Bのソリューションもこれからどんどん出てくるのではないか」(清水氏)

 もう1つの戦略はゲーミフィケーション。端的に言えば「なんでもゲーム化する」ことだという。これは、サービスにゲーム性を持たせることで利用者のモチベーションを高め、参加度を高めていく発想だ。その1例として、清水氏は電通と企画した「BANG
100 MILLION MINES」というアプリのアイデアを紹介した。

 清水氏によれば、同アプリは"社会貢献をゲーミフィケーション"したものだという。一種の位置ゲーであり、日本中にバーチャルな地雷を1億個配置し、プレーヤーがそれを除去するのだが、この地雷除去と連動してカンボジアに存在する現実の地雷も除去されるという、マッチングギフトのような仕組みが想定されている。ソーシャルゲームが「お金を払ったことがむなしくなる。空中に消えていく」のに対し、清水氏は「自分が遊んだ分だけ地雷が除去されるのなら、こんなに達成感のあることはない」と、企画の実現に期待を込める。
 さらに、若手プログラマ育成を目指したゲーム開発コンテンスト「9leap」では、"ゲーム開発自体のゲーミフィケーション"にも着手した。アプリを公開しているコンテストサイトに、アプリの投稿回数や評価回数、プレイ回数などによってユーザーの称号が変化するといったゲーム要素を組み込み、コミュニティーの活性化を狙っている。「ゲームを作るのは面倒でモチベーションがいる。そこでゲーミフィケーションを取り入れた」(清水氏)。

 HTML5/JavaScriptベースで扱いの簡単なゲーム開発エンジン「enchant.js」の無料公開と併せて同企画は開始され、1カ月強で170本以上のアプリが公開された。「人が集まるところ、特に作り手が集まるところでは何らかのビジネスができると思っている」と、今後のビジネス発展を模索している。

クウジットが考えるローカルグラフ活用


 近年はソーシャルグラフを活用したサービスに注目が集まっているが、スマートフォン時代にはユーザーの位置や状態から導きだされる"ローカルグラフ"を使ったサービスやメディアが生まれる——。クウジットの三屋氏はそう話す。

 クウジットは、Wi-Fiを活用した位置推定ソリューション「PlaceEngine」や、「KART」「CyberCode」といったAR技術を使ったアプリなどを提供している企業。社名は「空」と「実」の組み合わせに由来し、リアルとバーチャルを融合する技術やサービスに強みを持つ。

 同社にとってスマートフォンは、目指すサービスを実現するのに最適なツールだ。スマートフォンはGPSなど各種センサーを備えていることはもちろん、アプリを常時起動できる特徴がある。端末のセンサー情報を必要なときに読み取り、解析することで、ユーザーがどこにいるか、同じ場所に誰がいるか、その場所で何をしているのかといったコンテキストに合ったコンテンツやサービスを提供できるようになる。

 同社では、行動記録・解析ソリューションとして「KRM(Koozyt Reality
Mining)」を開発。独自の行動ロガーで取得した、GPSやPlaceEngineによる位置情報、加速度センサーなどのデータを解析することで、「どこで買い物をした」「どこで休憩をした」といったユーザーの行動履歴が推測できるようになるという。こうしたデータを生かせば、あるエリアで買い物を頻繁にするユーザーにターゲティング広告を展開するといったことが可能になる。 Facebookが場所にひもづいたクーポンサービス「Facebookチェックインクーポン」を開始するなど、位置情報とひもづいたサービスの注目度は年々高まっている。一方で、モバイル端末のセンサーで収集できるコンテキスト情報は膨大にあり、これらをどんなアルゴリズムでコンテンツやサービスと結びつけるかは各社が手探りの状態と三屋氏はみる。だからこそ「ビジネスチャンスがある」と、三屋氏は今後のサービス展開に期待を込めた。

2011年の携帯端末向け広告市場、前年から倍に拡大

米調査会社ガートナーは、2011年の携帯端末向け広告市場が前年比倍に拡大し、33億ドルになる、との見通しを示した。

ガートナーによると、携帯端末向け広告の広告全体に占める割合は、2010年は0.5%だったが、2015年には4%以上に増える。

ガートナーのアナリスト、アンドリュー・フランク氏は、スマートフォンやタブレット端末市場の拡大が向こう数年の携帯端末向け広告の増加につながるとし、携帯端末の使用者が増えるにつれ、マーケティング担当者にとり広告のターゲットを絞りやすくなる、との見方を示した。

ガートナーによると、地域別の2011年の広告予算は、アジア太平洋および日本が最大で16億3000万ドル。

また、2位の北米市場の広告収入は、2011年は7億0170万ドルと予想されているが、2015年には57億9000万ドルに増える見通し。

2011年6月15日水曜日

Google、PC向けにも音声検索、画像読み込み検索やページ先読み機能も

 米Googleは14日、サンフランシスコで開催されたInside Searchの報道向けイベントで、検索の新機能を発表した。PCにおける音声検索と画像読み込みによる検索、先読みによる検索結果表示の高速化という3点だ。

● 音声検索
 音声検索は、Google ChromeブラウザーのSpeech APIを使用し、PCのマイクを通して音声認識によって検索を行う方法だ。音声入力による検索機能は2008年以来、モバイル向けに提供されていたが、PCでも有効だと考えられたことから導入された。長い検索フレーズや、書き方がわからない言葉を検索しなければならない場合などには特に有効だと考えられる。

 この機能は、Google Chrome 11以上の英語版を利用している場合に利用できる。数週間以内に利用できるようになるとしている。

● 画像読み込みによる検索
 画像読み込みによる検索は、検索キーワードを入力する代わりに、手持ちの画像をGoogleに読み込ませることにより、画像に写っている物を検索したり、類似画像を検索したり、同じ画像の別のサイズ/解像度を検索できるというものだ。

 例えば、昔撮影した旅行先の写真に写っている場所が分からない場合、この画像検索を使用するとその場所を特定できる可能性がある。また、作者が分からない絵画にも利用できるかもしれない。一般的によく知られた名所や絵画である方が、よい検索結果が得られるとしている。

 画像読み込みによる検索は、2009年にGoogleが発表したモバイル向け「Google Goggles」の技術をベースにして、PC向けに改良している。

 利用するには、検索フォームのカメラアイコンをクリックして画像をアップロードするか、ウェブ上の画像のURLを貼り付ける。

 現在、この機能のためのGoogle ChromeおよびFirefox向け拡張機能がダウンロードできる。数日以内に「ほとんどの国」で同機能が利用可能になり、それと同時に拡張機能も有効になるとしている。

 また、昨年秋に発表された「Googleインスタント」を画像検索に応用した「Google Images with Instant」のプレビューも発表された。Googleインスタントが利用できるGoogle検索の全ドメイン/言語で、数カ月以内に提供される予定だ。この機能をすぐに利用したい場合には「Google Experimental」にオプトインすることで利用できるという。

● Instant Pages
 3つ目は「Instant Pages」だ。これは、Google検索をした場合に、検索結果のトップに表示されているページをバックグラウンドで先読みするもの。検索してから望む情報を得るまでの時間が大幅に短縮される。Googleは、この機能を利用した場合と利用しなかった場合を比較した動画を公開し、検索結果のトップに表示されているページの読み込み時間が0秒になる様子を示した。

 なお、Instant Pagesではすべてのページを先読みするわけではない。ユーザーが最もクリックする可能性が高いページだと判断した場合にのみ、先読みが行われる。

 Instant Pagesは現在、Google Chromeの開発者向けバージョンで利用でき、次のベータ版に搭載される予定だ。夏の終わりごろには安定版にも組み込まれる。それまでの間、ユーザーからのフィードバックを受け、機能のチューニングを行う。

● モバイル向けに検索語句の入力支援機能なども
 このほか、モバイル向け検索機能でも2点の改良が発表された。

 1つ目は、モバイル向け「www.google.com」ホームページの画面下に、よく検索されるカテゴリーのアイコンを表示するようにしたことだ。例えばレストラン、バー、ガソリンスタンドといったアイコンが表示される。アイコンをタップすると、地図上に該当個所と自分の現在位置が青い丸で表示される。検索語句を入力する必要がないため、モバイルでは便利だ。検索結果ページでは、画面上部の地図を表示したまま、画面下部に表示されている検索結果をスクロールできる。その際、検索結果のページにあわせて、上部の地図表示が変わっていく。

 2つ目は、検索語句の入力支援機能だ。「www.google.com」のサジェスト機能を利用し、該当する語句が表示された場合には、右側のプラスボタンによって、長い検索フレーズを短い時間で「組み立て」ることができる。この機能は、すでにAndroidとiOS向けGoogle検索アプリに搭載されているが、今回新たに、モバイルブラウザーから見られる「www.google.com」でも利用できるようになったということだ。

 モバイル向けの2つの新機能は、Android 2.2以上とiOS 4.0以上から「www.google.com」を利用した場合に、40言語で利用可能となっている。

2011年6月14日火曜日

ヤフー検索がツイッターと連携

 ヤフーは6月14日、Twitterとの戦略提携に基づき。ツイートを検索できる「リアルタイム検索」を公開した。リアルタイム検索はGoogleが既に公開しているが、Yahoo!JAPANのリアルタイム検索では、検索結果ページからリツイート(RT)やリプライができるなどの機能を盛り込んでいる。
 対象は24時間以内のツイート。Yahoo!JAPANの検索窓から「リアルタイム」を選べば、Web検索などと同様にツイートをキーワード検索できる。投稿されてから数秒で検索対象になるという。
 検索結果は、投稿時間順のほか、「独自の指標と基準」に基づいた適合度順の表示も可能だ。「時間順に見ていた時に見逃していた重要なツイートも、検索結果の上位に表示されるので見逃さない」としている。
 検索結果ページからRTやリプライ、お気に入り登録することも可能(要Twitterへのログイン)。特定のアカウントによるツイートを指定して調べることができ、アカウントを「ID:itmedia_news」と指定して検索キーワードを入力すればいい。
 検索結果の右側には「注目のキーワード」20件を表示。複数の指標に基づいて大量のツイートから抽出したキーワードや、Web検索で検索されているキーワードなどから10分ごとに更新しているという。
 ヤフーは今後、Twitter以外のソーシャルメディアとも連携も予定しているという。

3Dモーションによる人体解剖サイト「TEAMLAB BODY」が無料公開

 チームラボは14日、3D高精度モーショングラフィックにより「生きた人間の動き」を全方位再現した3D人体解剖サイト「TEAMLAB BODY(ベータ版)」を一般無料公開した。日英2言語に対応す
る。

 「TEAMLAB BODY(ベータ版)」は、高精度な筋肉・骨のビジュアルを3Dによりさまざまな角度から閲覧できるサイト。大阪大学運動器バイオマテリアル研究室の整形外科医師・菅本一臣教授の監修のもと、骨格・筋肉を中心とした人体解剖に関する情報を掲載したサイトとなっている。

 同研究チームは、整形外科疾患の治療過程で、生きた人間の関節の三次元的な動きを解析する手法を世界で初めて開発。その結果、人間が自分の意志で動かした関節の動きは、従来の医学教科書に記載されている献体を用いた動きとは異なることをあきらかにした。さらにこれに着目した同研究チームは、20〜30名の協力者を募り、過去10年以上にわたって、生きている人間ですべての関節の形態や動きをCTやMRIで撮影し、解析を行ってきたという。

 「TEAMLAB BODY(ベータ版)」は、その抽出データを用いて、人体の全身の筋肉・神経・血管・骨・関節をビジュアル化し、他の類似サービスでは実現できなかった、精度の高い骨格の形態や動き、さらには筋肉の収縮なども3Dモーショングラフィックスで表現した。今回、立位静止状態の3Dビジュアルを全面公開するほか、骨のモーション・筋肉のモーション(一部)を公開した。今後は、アップデートを重ねながら、医療現場や医学生、商用・エンターテインメント分野などへの応用やデータのライセンス提供を視野に開発を続けるとのこと。サイトの閲覧にはFlash Player、
Unity Web Playerの導入が必要となる。

Google、ディスプレイ広告管理ツールのAdmeldを買収

 米Googleは6月13日(現地時間)、ディスプレイ広告管理ツールの米Admeldを買収したと発表した。詳細は公表されていないが、米Wall Street Journalがこの件に近い筋の情報として伝えるところによると、買収総額は約4億ドルという。

 Admeldは2007年創業の、ニューヨークに拠点を置く非公開企業。Webパブリッシャーと広告主向けに、オンラインの広告ネットワークおよび広告取引市場(Ad Exchange)の利用を管理するツールを提供している。複数の広告ネットワークやDemand Side Platform(DSP)をサポートしており、Fox News、Thompson Reuters、Answers.com、Pandoraなどが顧客になっている。

 GoogleはAdmeldの広告管理サービスや技術をDoubleClickやAdMobに取り込むことで、より柔軟に使える広告管理ツールを顧客に提供できるようになるとしている。

 なお、Admeldは今後もGoogle以外の広告ネットワーク、Ad Exchange、DSP、広告サーバのサポートを継続する。

 Admeldのマイケル・バレットCEOは公式ブログで、「規制当局がこの買収取引を調査する間、両社は市場で独立した企業として存続する」と述べている。Googleは米調査会社IDCの報告によると、米ディスプレイ広告市場で現在首位に立っている。

 Googleは、AdMobやDoubleClickの買収の際にも独禁法当局の調査を受けており、DoubleClickの買収完了には約1年を要した。

Twitter好きの日本企業が抱えるネットワーク課題——パロアルト調査

 日本企業が利用するアプリケーションの41%が従来のファイアウォールでは制御困難——このたびパロアルトネットワークスが発表した独自調査で、日本企業のアプリケーション利用状況とそれに付随する脅威の特徴が見えてきた。

 パロアルトネットワークスでは、半年ごとに顧客環境のトラフィックを調査しており、全世界および国別に企業ネットワーク帯域でのアプリケーション利用状況をまとめている。2010年11月から2011年4月の期間で行った調査では、日本企業特有のものとして以下3点の課題が挙げられた。なお、同調査の対象企業は世界1253社、そのうち日本企業は87社である。

(1)検知したアプリケーションのうち41%はSSLなどポート443以外の通信を利用したものだった。全トラフィックの27%を占めるそれらのアプリケーションは、ポートレベルでアプリケーションを識別する従来のファイアウォールでは制御が困難である

 日本企業が利用するアプリケーションはサーバ/クライアントタイプのものが多く、ポートでアプリケーションを識別する従来のファイアウォールでは、ユーザーと利用権限をひも付けた制御(X部のAさんにはFacebookの全機能を許可するが、Y部のBさんには閲覧のみで書きこみ禁止など)ができない。なお同社が調査を開始した2年前には、それらのアプリケーション利用はわずか10%以下だった。

(2)ソーシャルネットワークサービス(SNS)は全世界共通で利用率が増加しているが、日本はTwitterが45%を占めるなど、利用アプリケーションに世界の傾向と若干かい離がある

 アプリケーションを狙う脅威レベルに違いはないが、日本で利用率の高いTwitterは短縮URLを悪用したスパムなども横行していることから、アプリケーション経由のマルウェア感染などに注意が必要という。

(3)P2Pとブラウザベースのファイル共有をそれぞれ82%、63%の割合で使用している

 世界ではWebブラウザベースのファイル共有が多く利用されているのに対し、日本はMicrosoft Office Liveなどのクライアント/サーバタイプ、宅ふぁいる便などのブラウザタイプのファイル共有アプリケーション利用率が高い。

2011年6月13日月曜日

日立とオラクル、仮想化環境のDBクラスタリングを共同検証

 日立製作所と日本オラクルは2011年6月13日、日立のサーバー仮想化機構「Virtage」上で、オラクルのクラスタリング技術「Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)」の稼働検証を
行ったと発表した。今回の検証により、VirtageはOracle RACの稼働認定を受けた。この認定を基に、両社は「日立-オラクルVirtageソリューションセンター」(写真)を開設し、顧客に対してデータベース(DB)統合基盤の構築などについてアドバイスを実施していく。

 Virtageは、日立製ブレードサーバー「BladeSymphony」に搭載されている仮想化機構。CPUやメモリーといったハードウエアを論理分割し、複数の論理区画(パーティション)を作り出すことが可能である。今回、Virtageのパーティションで動かしたOracle
Databaseについて、Oracle RACの稼働が認定された。これまでOracle RACの稼働が認定された仮想化環境は、オラクル製の仮想化ソフト「Oracle VM」のみだった。

 Oracle RACは複数のOracle Databaseのノードを連携させ、性能をスケールアウトさせると同時に、DB全体の可用性を高める技術。データの一貫性を保つために、キャッシュフュージョンと呼ぶ機能を使い、DBノード間でデータをやり取りする。特に仮想化環境ではそのオーバーヘッドが気になるが、「Virtageの機能を使いパーティションにI/Oカードを占有させることで、キャッシュフュージョンのパフォーマンスが確保できる」(日立製作所 第二サーバ本部 第三部 芳野泰成 部長)。

 両社は今後、ソリューションセンターを通じ、DB統合のサイジングや方式などについて顧客にアドバイスを行っていく。日本オラクル テクノロジー製品事業統括本部 アライアンスビジネス推
進部の椛田后一 部長は「仮想化技術の普及によりIAサーバーの統合が進んできたが、DB統合には不安を感じる顧客が少なくない。Virtageで堅牢な仮想化環境を作り、その上でOracle RACを動かすことで、性能や信頼性が高い
DB統合基盤が作れる」と話す。

 またオラクルは、次期「Oracle Database」のOracle RACに関わる部分について、開発・テスト環境としてVirtageによる仮想化環境を利用する。

Google、Webページのコンテンツ制作者を示す記法をサポートへ

GoogleはWebページのコンテンツと制作者を結びつけるためのマークアップを新たにサポートすると発表した。

新しい記述法はリンクに「rel」属性を使用することで、コンテンツページと著者ページとを関連付けるというもの。コンテンツ内に著者ページへのリンクを用意し、「rel="author"」という属性を追加すれば、Googleの検索エンジンがリンク先の著者をコンテンツの作成者として認識する。この場合の著者ページはコンテンツページと同じサイト内に存在する必要があるとのこと。著者ページから自分のWebサイトやSNSのページなど、外部サイトにリンクする場合はリンクに「rel="me"」という属性を追加すればいい。これにより、Googleの検索エンジンがリンク先のページを同一著者のものであることを認識できる。

Googleがさまざまなサイトにまたがった「著者検索」機能を提供する日も近そうだ。

中国における IPv4/IPv6 事情

「World IPv6 Day」は、IPv4アドレスの在庫が枯渇した状況の中、IPv6 アドレスの円滑な導入を促すために開催され、Google や Yahoo!、Facebook、YouTube、Akamai などの大手 Web サイトから一般企業の Web サイトまで、世界の436の企業・団体などが参加しました。この間、参加企業は Web サイトに IPv4/IPv6のデュアルスタックに対応する設定(IPv4でもIPv6でもアクセスできるようにすること)を施し、IPv6に対応をしていく中での対応策や問題点の洗い出しなどを行いました。

中国では IPv6に対する取り組みは政府レベルで2000年代初頭から積極的に推し進められており、以前から様々な実験が中国全土で実施されています。中国が積極的に IPv6への技術投資を行ってきた背景には、いくつかの思惑と中国特有の事情があるとされています。Cisco や Juniper といった IPv4時代に発展かつ市場を席巻してきた欧米のネットワーク機器メーカーが、中国でもシェアを伸ばしていることに中国政府が危機感を抱き、中国の機器メーカーが IPv6という新しい技術への転換を機に主導権を握れないかと模索したのも事情の一つとされています。

この思惑の他にも現実問題として、中国は人口に対して IPv4アドレスの割当数が極めて少ないことが挙げられます。この問題は、中国自体が IPv6という大量の IP アドレス空間を利用できる技術の直接的な市場になりうることも注目されました。

実際、中国では IPv4アドレスが2億7,000万個しか割り当てられておらず(2010年12月現在、CNNIC による)、人口1人あたり1個以上の IP アドレスが割り当てられている日本やアメリカと比べ、僅か0.2個という状況です。世界全体でも IPv4アドレスは既に枯渇の状態で、大幅な追加割り当ては期待できません。このことは、今後様々なデバイスがインターネットに繋がっていくユビキタス時代を迎えるにあたって、市場拡大への大きな支障となることが想像される状況です。

その一方で、今回の「World IPv6 Day」には主要な中国企業は参加を表明しませんでした。CN ドメインを持つ Web サイトの中で参加表明した唯一の企業は、総合通信機器メーカーである中興通迅(ZTE Corporation)で、最終的な参加表明者リストにも中国系企業はこの一社のみです。

百度(Baidu)やアリババ、タオバオなどの大手サイトも一切反応を見せずじまいだったのは意外ともいえ、欧米企業が中心となったプロジェクトを敬遠したか、Web サイトの IPv6対応を行う技術的な準備が間に合わなかったなど、複数の可能性があるものとみて取れます。ただし、実際には政府系機関や教育機関などのサイトでは IPv6対応は既に進めており、必ずしも中国での取り組みが全体的に遅いとは言えません。

さらに、中国では日本やアメリカなどと違って個人が Web サイトを開設することはほぼ無いため、仮に今後 IPv6化が進んでいったとしても大きな混乱を招くことはないと考えられ、こうしたトライアルへの参加の必要性は低かったのではないか、との声も聞かれます。

現在、中国では IPv4アドレスは ISP 経由でしか割り当てられていないため、当局は ISP に対して提出する申込者情報によって個人を特定できますが、IPv6の場合には割り当て方法がまだ確立しておらず、今後どのように管理体制が敷かれるかは引き続き関心を払う必要があります。

最後に、主要な中国の大学の対応状況を調べてみましょう。これらを見てみると、各大学では IPv6サイトをそれぞれ用意し、実験的な取り組みを進めている様子がわかります。また、この動きは、IPv6の導入を推進したいとしている政府の動きに同調したものと見られます。

今回の「World IPv6 Day」に参加をした日本や欧米の ISP や主要なインターネットサービス企業は、Web サイトの IPv6対応に関する多くのノウハウを新たに吸収したであろうことに比べ、中国国内の主要な企業やインターネットサービスの Web サイトでは、IPv4/IPv6のデュアルスタック対応、もしくは IPv6専用サイトの開設といった大きな動きは今のところ見られませんでした。こうした中国企業の IPv6に対するノウハウ蓄積遅延は、中国全体での IPv6化へのスピードを減速してしまう可能性もあります。

先に触れたとおり、中国は人口に対して極めて IPv4アドレスの割当数が少なく、より広大なアドレス空間を持つ IPv6ネットワークが他の国よりも早く進まなければ、スマートグリッド・センサーネットワーク・RFID など、インターネットに大量の小型デバイスやメーターが接続されるという次世代の展開にも大きな制約が生まれてしまいます。今後の中国の IPv6を取り巻く動向が注目されます。

可読性の高いコードにはルールが必要

 チームで開発を行うと、必ず「ルール」が必要になる。よくある規約としては、開発手法を定めた「開発規約」や、どのようなテストをどれだけ行うかを定めた「テスト規約」などがある。

 コードを書く際、どのプログラミング言語にも最低限のルールは存在する。しかし、すべてのエンジニアがそれを熟知しているとは限らない。ルールを知らないエンジニアが書いたコードは、本人にしか理解できないものになる。そのようなコードを1つ許せば、いずれシステム全体が混沌状態に陥り、システムの品質を落としてしまう。

 では、厳密にコードを書くためのルールを決めれば、問題は解決するか?

 必ずしもそうとは限らない。ルールは、時としてコードを書く上で足かせとなる。ガチガチに規約で縛ると、ルールを守るために冗長なコードを書いたり、必要以上の実装を求められたりと、生産性を落とすことになりかねない。実装の自由度を十分に残しつつ、一定のルールを決定することは非常に難しい。

 すべての規約に星1つ〜星5つの評価を付け、星の数でルールの重要度を示している。ある程度のJavaの知識を持つエンジニアにとって、星5つのルールは「無意識のうちに守っている」というレベルだ。しかし、逆にJavaの知識に自信のないエンジニアにとって、星5つのルールはJavaの書き方の基礎を固めるのにちょうどいいだろう。まずは星5つのルールを重点的に読み、それから星数が少ないものへと進めていくと、より良いJavaソースの書き方を身に付けることができる。

GPT保護パーティションを削除する

 最近では大容量のディスクも安価になり、2Tbytesを超えるような大容量のディスクを利用することも珍しくない。別記事「2Tbytes超ディスクをデータ用ストレージとして利用する」では、2Tbytes超の大容量ディスクを利用する方法と、そこで使われる新しいパーティション管理方式である「GPT(GUID Partition Table)」について解説している。従来使われていた「MBR(MBR(マスター・ブート・レコード)」では2Tbytes超のディスクを管理できないため、現在のWindows OSではGPT方式も利用できるようになっている。ディスクの容量に応じてGPT形式でディスクをフォーマットすれば、大容量のディスクでも問題なく利用できる。ただしGPTは2Tbytes超のディスクだけに利用できる技術ではなく、もっとサイズの小さいディスクで利用してもよい。Windows OS以外のシステム、例えばLinux(を使ったシステム)やMac OS X、NAS機器、ディスクを内蔵した家電機器などでは将来性などを考えて、ディスクのサイズに関わらず、現在ではGPT形式を利用していることがある。

 だが32bit版のWindows XPではGPT方式のディスクはサポートされていない(64bit版のWindows XPではサポートされている)。そのためGPT形式のディスクを接続してもその内容(パーティション構成)は表示されないし、パーティションの作成や削除もできない。つまり、そのままだとWindows XPではまったく利用できないディスクとなる。

Windows XPでは、GPT保護パーティション(保護MBR)のみが見えるが、このパーティションは削除したり、サイズを変更したりできない。ディスクを不用意に書き換えないようにするために、このようなMBRが定義されている。
 このようなディスクをWindows XPで利用したければ(通常のMBR方式で管理させたければ)、ディスクの管理情報を削除して未使用状態に戻せばよい(もちろんパーティションに保存されていたデータにはアクセスできなくなる)。本TIPSでは、その手順を解説する。

 ディスクの管理情報をすべて削除して、完全に初期化するには、diskpartコマンドを利用する。
 まずコマンド・プロンプトを開き、「diskpart」コマンドを起動する。そして「list disk」でディスクの一覧を確認後、「sel disk <数字>」でディスクを選択して(<数字>には一覧で確認したディスクの番号を指定する。間違えないように注意)、「clean」コマンドを実行する。cleanコマンドは確認なしですぐに実行されるので注意していただきたい。
 以上の操作でディスクの管理領域は削除され、Windows OSからは未初期化状態のディスクとして見えるようになる。あとは初期化して、パーティションを確保すればよい。

2011年6月10日金曜日

EPUBとは

 EPUBとは、電子書籍コンテンツのファイルフォーマット規格である。電子書籍の仕様の標準化を目指すIDPF(国際電子出版フォーラム)が仕様を策定、公開している。名称は「Electronic PUBlication」(電子出版)に由来する。

 特徴の一つは、仕様がオープンであること。電子書籍のフォーマットには、EPUBのほかにXMDFや.book、PDFなどがある。これらはもともと、シャープ、ボイジャー、米アドビ システムズが開発した。こうした仕様は開発したベンダーが中心になって決めることが多い。一方のEPUBは、電子書籍にかかわる多くの企業からの意見を基に仕様が決められている。なお現在では、XMDFは国際電気標準会議(IEC)で、PDFは国際標準化機構(ISO)でそれぞれ標準化されている。

 EPUBは、Webサイトのコンテンツの記述に使われるHTMLをベースにしている。XHTML(XMLに準拠したHTML)形式で記述されたファイルと、ページの統一デザインを決めるCSSファイル、これに画像、音声、動画、フォントといったファイルなどをZIP形式でひとまとめにする。このため、単なる紙の本を電子化するだけでなく、音声や動画を使ったマルチメディアコンテンツとしての配信も可能になっている。

 XMDFや.bookもタグを使うHTMLやXMLをベースにしたフォーマットである。EPUBを含めたこれらのフォーマットでは、ユーザーがビューワーソフト上で好みに合わせて文字フォントのサイズや行間などを指定できるというメリットがある。このとき、設定に応じてテキストを流し直す処理を施しており、こうした機能を「リフロー」と呼ぶ。こうした長所の半面、EPUBは複雑なレイアウトを作りづらい。ユーザーが指定した設定によってはレイアウトが大きく崩れて読みにくくなることもある。

 これに対して、パソコンの文書配布の形式として広まったPDFは通常、フォントサイズや行間を変更できない。文字を大きくしたり小さくしたりするときは、レイアウトを維持したまま、ページ全体を拡大/縮小するようになっている。その一方で、複雑なレイアウトのページを作りやすい。

 現在主に使われているEPUBのバージョンは2.0.1である。このバージョンでは、縦組みに対応しないなど、日本語で利用しにくい面がある。しかし、次バージョンの3.0では縦組みやルビ、縦中横(縦組みの文に「21」といった複数けたの数値や、長さを表す「cm」を横書きで入れること)など、日本語独自の表記ルールをサポートしている。

MBRに代わる、GPT形式のパーティション管理

 MBR形式に代わるパーティション管理方式として、新しく「GPT(GUID Partition Table)」という管理方式が開発され、利用されることになった。GPTでは、パーティションの開始位置やサイズを指定するために64bit幅のデータ領域を用意している。これならば48bit LBAによるディスクのブロック・アドレスをそのまま格納できる。またMBRにあったさまざまな制限などもなくし、拡張性/柔軟性に富み、信頼性の高いパーティション管理システムとなっている。GPT方式のメリットとしては、次のようなものがある。

論理ブロック・アドレスやパーティション・サイズを64bit幅のデータとして管理する
ディスク1台あたり、最大で128パーティションまで管理できる。MBRのような、プライマリ・パーティション(最大4つまで)や拡張パーティション、論理パーティションという区別はない。すべて対等なパーティションになる
冗長性/信頼性確保のため、ディスクの先頭と末尾に同じGPTデータが置かれ、プライマリが障害などで利用できないときはバックアップが利用される
パーティション・データの正当性を保証するため、CRC32によるチェック・データが付けられている
パーティションの内容を識別するためにGUIDが利用されている
パーティションごとに、最大で36文字までの識別用文字列を割り当てることができる
LBA 0(ディスクの先頭のブロックのこと)には互換性のためのMBRデータが置かれている
■古いソフトウェアによる誤操作を防ぐ「互換MBRデータ」の仕組み
 上のメリットのうち、最後の1つ(互換性のためのMBRデータ)について補足しておく。GPTは新しいパーティション管理方式であるため、従来のMBRとはまったく互換性がない。いったんディスクをGPT形式でフォーマットしてしまえば、そのディスクはもうMBR方式ではアクセスしてはいけない。すでにGPT形式で確保されたパーティションのデータなどが壊れてしまうからだ。

 とはいえ、MBRを操作する(古い)ソフトウェアはGPTを知らないだろうから、アクセスを完全に防ぐことはできないだろう。そこで考え出されたのが、元々のMBRの場所であるLBA 0にダミーの(レガシー)MBRデータを置く方法である。

 MBRで取り扱える最大ディスク・サイズは2Tbytesなので、すでに2Tbytes(もしくはディスクのサイズ)いっぱいに特別なパーティションが確保されている、というMBRデータを作成してLBA 0に書き込んでおく。するとMBRを操作するソフトウェアは、MBRやパーティションの内容を変更することはないはずである。このような目的で使われるMBRを「保護MBR」とか「GPT保護パーティション」などという。


MBRとGPT
2Tbytesの限界を超えるため、パーティションのデータはGPTで管理する。ただしGPT形式のディスクでは、互換性のために(勝手に操作されないように)MBRのデータも保持している。UEFIの仕様書より引用。MBRから見ると、ディスクのサイズは2Tbytesで、その全部がすでに使用(割り当て)済み状態となっている。本当のパーティション・データはGPT側で管理する。ディスクのサイズが2Tbytes以上あるときは、GPT保護パーティションのサイズは2Tbytesいっぱいとなるが、2Tbytesよりも小さいディスクの場合はディスクの末尾までとなる。
 これ以外に、例えばディスクの前半1TbytesはMBRで管理し、残りはGPTで管理するといった方法も考えられるが(これならば、従来のMBRを利用するソフトウェアも1つのシステム上に同居できる)、間違えてお互いのパーティション・データを破壊したりする可能性があるので、あまり使わない方がよいだろう。少なくともWindows OSはこのような使い方はせず、GPT保護パーティションのみを利用している。

GPT形式のディスクを追加ストレージとして利用するには

 さてこのMBRに代わるGPT(GPT形式のディスク)であるが、いったいどのOSで利用できるのであろうか。以前の137Gbytes超ディスクのときのように、システム(PCやBIOS、インターフェイス・カード)やOSが対応するまで数年待たねばならないのであろうか? もしそうなら、残念である。大容量ディスクはすでに一般的なのに。

 やや悲観的なことを述べたが、実はGPT形式のディスクは、追加ストレージ(追加のボリューム)として利用するだけなら、Windows XP x64 EditionやWindows Server 2003 SP1以降、すなわち以下のWindows OSですでに利用可能である。

Windows XP x64 Edition
Windows Server 2003 SP1以降
Windows Vista
Windows Server 2008
Windows 7
Windows Server 2008 R2
 一方、Windows XP(32bit版)やWindows 2000およびそれ以前のWindows OSでは、GPTは利用できない。これらのOSでは、2Tbytes以下のディスクなら保護パーティションのみが見える。つまり利用できないボリュームとして見えるということである。2Tbytes以上のディスクの場合は、ベンダ提供のドライバなどをインストールしないと、ディスクそのものがアクセスできないことがある。

 GPT形式は「UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)」規格の一部として作成されたが、UEFI規格そのものはもう10年近く前に決められたものである。そのため、当時からWindows OSではGPT形式のディスクを追加ストレージとして利用する機能はサポートされていた。UEFIはIA-64システムなどで利用することを主眼に開発されたものであったが、現在ではサーバ・システムやビジネス向けPCなどを中心に、サポートが進んでいる。

クラウド&スマホ時代、運用管理の在り方を再考する

 近年、多くの企業にクラウドサービスが急速に浸透しつつある。一方で、最近はiPhoneやAndroidといったスマートフォンの個人利用、企業導入も着実に進んでいる。

 クラウドサービスとスマートフォン、一見、直接関係のなさそうな、この2つのテクノロジ・トレンドだが、この組み合わせには巨額の資金が投入され、多様なサービス、製品が開発されている。読者の皆さんの中でも、すでにどちらか、あるいは2つを無意識のうちに組み合わせて利用している人は多いのではないだろうか?

 例えば、個人の利用シーンでは、EvernoteやDropboxといったクラウドサービスをスマートフォンで利用するのは、もはや珍しいことではなくなっている。企業における活用シーンを考えても、情報共有ツールなどのクラウドサービスをスマートフォンで使うことによる業務効率化や、東日本大震災以降、特に注目を集めている事業継続性の確保という面でも、これらの組み合わせには大いに期待できる。

 では、この便利な2つのテクノロジ・トレンドを業務基盤として活用する上では、何がポイントとなるのだろうか?——

 クラウドサービスとは、IT資産を自社で「所有する形態」から、外部のクラウドサービス業者の所有するIT資産にネットワークで接続することで、「利用する」形態に置き換えるサービスである。自社で資産を持たず、調達の時間を意識せず、すぐに利用できる点が特徴だ。一方、スマートフォンは、「持ち歩ける」という機動性と、従来の携帯電話端末よりも格段に使いやすい専用アプリケーションを開発・利用できる点が特徴と言える。この点が「企業内の業務端末」として期待されるゆえんだろう。

 このクラウドサービスとスマートフォンにより、「自社で管理しているサーバと、ノートPC・モバイルデバイスを使って行ってきた業務処理」を、より効率的かつ安価に利用できるようになる。では、これは具体的にはどういうことなのか?

 クラウドサービスとスマートフォン、ともに「思い立った時点で導入し、すぐに効果的に活用できる」というものではない。 導入を検討する際は、従来と同様に、まずは既存の社内システムを棚卸しすることが求められる。

 棚卸しによって、社内システムの利用状況や投資コストを洗い出してみると、実は、今まで有効に利用されていると思っていた社内システムが、導入当初の目論み通りに利用されておらず、「運用コストを掛けている割には、導入効果が上がっていない」ケースが見えてくることが多いのである。

 例えば、グループウェアや営業日報のシステムが「社内のPCからしか利用できない」といったケースが見えてくるはずである。また、棚卸しによってポイントを把握すれば、「これらを出先、あるいは移動時間中に操作できるようにしたい」といったニーズも掘り起こせることだろう。こうした点がクラウドサービスやスマートフォンの導入のポイントなのだ。

 まずは「今、自社にはどんなシステムがあり、どのように利用されているのか」を把握する——こうした"システム活用の基礎"はどんな時代になっても変わらない。むろん、これには「手軽に導入できる」がゆえの無駄な投資を抑制する、という意義もある。

 だが、クラウドサービスとスマートフォンを活用する際の課題は、これだけではない。 「クラウドサービス・スマートフォンのセキュリティ対策」「クラウドサービス、スマートフォンと社内システムの連携」「個人所有のスマートフォンの業務上の利用ポリシー」などなど、考えなければならないテーマはさまざまである。

2011年6月9日木曜日

東京湾北部地震対応計画、3つのポイント

 今回、東京を襲ったのは最大で震度5強(江戸川区、足立区、板橋区、荒川区、杉並区、中野区、江東区、千代田区)。向こう30年内に70%の確率で発生すると言われる東京湾北部地震では、東京を震度6弱の地震が襲うと予想されている(南関東地震では震度6強と想定されている)。

 この際には当然、負傷者も増え、多くの道路が閉鎖され、混乱の大きさも今回の比ではないと思われる。内閣府が2008年に公表したシミュレーションによれば、「東京湾北部地震が関東を直撃した場合、被災当日は都内からさいたま市への移動だけでも通常の倍近く、すなわち11時間以上かかるだろう」と予想されている。このことからも混乱の大きさが容易に想像できる。

 こうした事実を踏まえれば、企業は「今回の東日本大震災から見えてきた課題」を真摯に受け止め、来たるべき震災に備えていかなければならないことは、火を見るよりも明らかである。

 ところで、こうした「被災直後における企業の対応の在り方」を示した行動計画を指して、「災害対応計画」や「防災対応計画」「初動対応計画」などと呼ぶ。画一的な呼び方はないが、いずれにしてもその最大の目的は人命保護にあり、避難行動や安否確認、先の帰宅困難者対応を含めた二次被害防止などといった観点についてカバーすることになる。

 企業では「災害に遭遇した際にも、事業を継続できるようにするために策定する行動計画」をBCPと呼ぶが、この人命保護を目的として定めた初動対応の計画は、このBCPの一部となるものだ。そもそも、社員の安全が確保できての"事業継続"であることから、真に役立つBCPを用意する上でも、初動対応計画は非常に重要な位置付けと言える。

■避難
 「最初の待避行動の在り方」の解は一つではないが、基本的に入居している建物の耐震性が高いようであれば、建物内にとどまっておくことがより安全だろう。とはいえ、入居している建物の耐震性、建物を取り囲むビルの耐震性、避難場所までの距離などの情報がなければ、社員も判断のしようがない。会社として責任を持って、こうした情報を確認の上、対応方針を明確にし、社員に伝えておくことが重要となる。

■安否確認
 被災当日、回線に大量のトラフィックが発生し、電話連絡が困難になった。携帯メールに頼った安否確認システムは、メールサーバに高負荷が掛かったためか、メールの送受信が著しく遅延したことが確認されている。

 また一方で、社員の安否確認に追われて来客者対応がおろそかになり、来客者がいつ帰ったのか、無事であったのか、しばらく分からなかったというケースも報告されている。さらに社員本人の無事が確認された場合でも、その家族の安否が分からないために、業務が全く手につかないという事態も多々あった。

 社員のみならず、社員の家族の安否情報が取れないと、それはそのまま事業継続のボトルネックになりかねない。企業として業務再開に向けた動きも取りづらい。 また、来客者に対していい加減な対応は、人道的に許容されるべきものではなく、最悪の場合、企業の信用を問われかねない。

 さらに、意外に知られていないことだが、社員の家族の安否確認の成否は、そのまま帰宅困難者の問題に直結する。内閣府の調査によれば、社員が「自分の家族の安否を確認できた場合」と「できない場合」で比較した際、後者の場合は「最大25%ほど帰宅困難者の数が減少する」と予測されている。

 安否確認の在り方としては、今回の震災ではデータ通信を問題なく利用できたことから、できればSkypeや音声チャットなど、データ通信を利用した連絡手段を取り入れることを視野に入れておきたい。ただし、今回の震災で使えたからと言って、次の震災の時に必ず使えるとは限らないので、常に複数の手段を持つよう心掛けておくことが重要だ。なおかつ、社員の安否だけではなく社員の家族、そして来客者の安否確認をどうするのかについても、対応を決めておくことが重要だ。

■帰宅困難者対応
 あまり知られていないが、都内で震度6以上の大地震が発生した際、警視庁は環状7号線の内側の区域を全面車両通行禁止とする交通規制を実施する。また、緊急車両を最優先で通行させるために、緊急交通路に指定されている幹線道路に関しても全線車両通行止めとなる。

 これにより、東京湾北部地震では、「200万人を越える人が満員電車状態の道路を、最低でも3時間は歩かなくてはいけない」という想定結果が出ている。負傷者の病院への移動の大きな妨げになる上、たとえ健常者でも、帰宅途中に大きな余震に巻き込まれ、二次災害を被る危険性も高くなる。

 ちなみに余震についてだが、気象庁の発表によれば、2004年に新潟県で起きた中越地震では、本震と同日内に発生した震度5以上の余震は10回を数える。今回の東日本大震災も例外ではなく、3月11日当日から12日の未明にかけて、震度5以上の余震が8回も発生している。

 こうした"一斉帰宅のパニック"を回避するために、企業も普段から「災害時の社員の帰宅方針」を定めておく必要があるだろう。まず、「どうしても真っ先に帰宅しなくてはいけない事情を抱える社員」と、そうでない社員とを分けて、段階的に時差を設けながら帰宅させることが望ましい。

 参考までに、企業で働く東京都民の3分の1の人たちの帰宅を、震災翌日に分散させるだけで、先ほど述べた「"満員電車状態で移動"する人数は、半分にまで減る」とされている。「2分の1の人を翌日に帰宅させた場合には、当日の混雑を4分の1まで減らせる」とのシミュレーション結果も出ている。

GNUプロジェクト創設者のリチャード・ストールマン氏、「電子書籍は危険」と警告

 GNUプロジェクトの創設やFree Software Foundation代表として有名な米フリーソフトウェア運動家のリチャード・ストールマン氏は6月7日(現地時間)、電子書籍の危険性について警告する文書を自身のサイトで公開した。

 「The Danger of E-books」と名づけられたこのPDF文書には、電子書籍には紙書籍と異なり「表現の自由」を阻害する危険性があると、Amazon.comによる電子書籍配信の仕組みを例に挙げて説明している。

 ストールマン氏によると、電子書籍には「購入時に自分が何者か明かす必要がある」「法律上所有できない」「ライセンス締結を強要される」などの問題点があり、表現の自由を守るために戦い、新しい仕組みにすべきだとしている。

Power over Ethernet(PoE)給電

蛍光灯型やスポット型のLED照明器をPoE対応スイッチで点灯できる。デモンストレーションではスマートフォンにインストールしたリモコンアプリを操作していた

 ベンチャーパビリオンにブースを構えるサイバートランスジャパンは、Power over Ethernet(PoE)給電とバッテリ駆動が可能なスイッチを利用してのLED照明のコントロール技術を披露した。

 この技術では、通常時でもPoEによってLED照明を点灯することで消費電力を下げることができ、照度を変えることで、さらなる節電が可能だという。アダプターを使用すれば、1つのポートで複数のLED照明器をコントロールすることができ、センサーを組み合わせることで、自動的に明るくしたり、暗くしたりもできる。

 

データセンターの節電

 震災とその直後に実施された計画停電は、企業のIT環境にも大きな影響を及ぼした。特にデータセンターではサービスの中断など深刻な問題の発生が今後も予想されるだけに、西日本地域へのシステムの移転といった対応に追われているところが少なくない。

 日本データセンター協会による講演では、企画グループの泓宏優氏が、すぐにでも始められるデータセンターの節電術を紹介した。同協会では節電方法をまとめたマニュアルをWebで一般にも公開している。

 重要な情報システムが幾つも稼働するデータセンターは、節電のためとは言え、実際には簡単に止めることができない。「移転するにしても西日本地域にはもう余裕がない。電力使用の状況を可視化して、できるところから節電していくのが現実的な方法」(泓氏)という。

 日本データセンター協会は、節電対策を「物理的な設備」「ソフトウェアの機能」「ファシリティ」の3つの点で実施することを推奨している。

 まず「物理的な設備」では、可能であればサーバの電源ケーブルをコンセントや電源タップから抜いたり、ブレーカーを遮断したりと、根本的に通電しないようにする。また、配線ケーブルはなるべく取りまとめて通気性を高め、ファンやフィルタを清掃して冷却効率を高める。ベンダーへの確認が必要だが、予備電源系も可能なものは取り外すことが推奨されるという。

 また、あまり使用していないサーバなどのオプションのボートを取り外す、HDDからSSDに換装して稼働部分を減らすといった方法もある。ネットワーク帯域の使用を制限することも節電につながる。

 「ソフトウェアの機能」では、発売時期が比較的新しいサーバやストレージ製品に搭載されている省電力設定の機能を活用する。多くの製品では推奨の省電力設定が用意されており、これを有効にするだけでも大きな節電効果が見込まれる。また、「パワーキャッピング」という機能がある場合、CPU使用率の上限を低めに設定することで、システムを稼働したままでも一定の節電効果が得られる。

 「ファシリティ」では、通常では低めに設定されているマシンルームの室温を最高で40度程度に引き上げる方法がある。機器の動作に影響が出ないようベンダーとの調整が必要だが、室温を高めることで冷却装置の使用電力を抑制できる。このほかにも、室外機の周辺に水を噴霧して気温を下げ、空調機器の効率を高めるといった方法もある。

 日本データセンター協会では、会員以外の企業にも自主的な節電を呼び掛けていくとともに、経済産業省に対してデータセンターが安定して稼働できるための施策を要望しているという。

シャープDS、月額1万円台の低価格なクラウド型サイネージ配信サービス

シャープドキュメントシステムは、デジタルサイネージの表示コンテンツを手軽に低コストで配信できるクラウド型サイネージ配信サービス「3swebサイネージ配信サービス」を開発し、7月1日より発売すると発表した。費用は月額12,000円/ライセンス(税別)。

システムイメージ
ネットワーク上に設置したサーバからインフォメーションディスプレイに対して、情報コンテンツ(静止画や動画など)を配信、表示させることができるシステムであるe-Signage作成した表示コンテンツを、クラウドサーバに保存し、配信先を設定すれば、遠隔地に点在するデジタルサイネージ端末へ配信することができる。

専用VPNの構築やサーバへの初期投資が不要となり、低コストでのシステムが導入できる。