2011年3月15日火曜日

沸き立つ英語市場に新勢力

英語力は低く、教育関連市場規模は大きい日本。英語力強化の商機拡大で外資ネットベンチャーが攻勢に出る。顧客が求める「費用対効果」に、淘汰の波も起きそうだ。

 英語教育市場が活況に沸いている。TOEICは受験者数が前年比10%増で推移中。英会話学校大手ベルリッツ・ジャパンでも2010年上半期の問い合わせ数が前年同期比1.5倍に増加した。

 これは言うまでもなく楽天やファーストリテイリングの試みに端を発した英語公用語化の恩恵の波が英語学習市場に押し寄せていることによる。様々な業界大手が堰を切ったように新入社員の採用基準に英語力を設け、既存社員の英語力強化策を打ち出すなど、英語力の必要性は高まっている。

 特需に沸く英語教育市場に、攻勢をかけているのがインターネットを使って英語学習ツールを提供する外資のベンチャー企業だ。

 2009年3月から独自メソッドを用いて英語の語彙力を高める学習サービス「Smart.fm」を運営してきたセレゴ・ジャパンは3月31日をもって Smart.fmを終了する。同時に月額1000円の有料版サービス「iKnow!」への移行を進める。「従来の無料版に登録していた会員数は100万人弱。1割くらいが有料版に移行してくれるのでは」と語るのはセレゴ・ジャパン社長のポール・グリーンバーグ氏だ。同社は4月から法人契約プランも設け、高まる需要を刈り取っていくつもりだ。

 一方、米グーグル・ベンチャーズが出資する動画を用いた英語学習サービス「English Central」の運営元、米イングリッシュ・セントラルもまた日本市場拡大を好機として捉える。「楽天やファーストリテイリングが起こした英語化の波は追い風」と語るのは創設者兼CEO(最高経営責任者)であるアラン・シュワルツ氏。17万人の会員を抱えているが、3月から月額980円の有料版の販促を強化していくという。

潮目が変わった英語教育市場

 次々とベンチャー企業が参入する背景にあるのは、世界的に見て日本は英語力が低いにもかかわらず、語学学習サービス市場規模は世界最大規模という事実だ。

 矢野経済研究所の調査によると2009年度の語学ビジネス市場規模は約7394億円。業界最大手の破綻、リーマンショックの影響など、ここ数年は市場が縮小していたが、2010年に潮目が変わった。

 ベルリッツ・ジャパンのマーケティング部の中川淳氏は言う。「企業の需要がより実践的な英語力に移りつつある」。事実、同社が2007年から新設したビジネスシーンでの実践的な英語活用を学ぶ「ベルリッツ・ビジネス・コミュニケーションズ・スクール(BBCS)」の採用企業数は2010年になって前年比1.6倍と急増したという。

 セレゴ・ジャパンのグリーンバーグ社長もまた2010年を「趣味の英語から必需品としての英語に変わった年」と表現する。英語を学習する社会人や社員の英語力強化を求める企業は、より高い実践力と成果を求め、価格も含めた費用対効果を重視し始めている。

 活況とともに厳しくなる顧客の目。費用対効果を前面に打ち出す外資ベンチャーの参入が、業界再編の引き金を引く可能性もあり得る。

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