NANDフラッシュ・メモリの世界生産量の40%以上、DRAMの15%が日本で生産されているため、3月11日に日本を襲ったマグニチュード9.0の巨大地震は、半導体の世界市場への供給に深刻な影響を与える可能性がある。調査会社がそのように予想している。
半導体調査会社の米国Objective Analysisのアナリスト、ジム・ハンディ(Jim Handy)氏によると、生産が小幅に減少するだけで、半導体価格は著しく上昇するが、生産工場が操業を2週間停止すれば、半導体生産量はかなり落ち込む ことになるという。このことから、Objective Analysisは今回の地震に伴い、半導体価格が大幅に変動するとともに、短期的な供給不足が生じると予想している。
同社によると、今回よりマグニチュード(M)の低い地震、例えば2008年に発生したM5.9の地震や、2007年に発生したM6.0と6.8の2つの地震の際も、半導体業界に関する同様の懸念が浮上したという。
だが、異なる見解を示す調査会社もある。市場調査会社の米国iSuppliは、DRAMやNANDフラッシュの生産が地震の影響を受けるとは考えていない。
iSuppliのアナリスト、マイク・ハワード(Mike Howard)氏は、同氏の日本の知人は、米国Micron、日本の東芝、エルピーダメモリが所有する生産施設は、震源地から十分離れており、被害はない のではないかと話していると語った。「これらの施設は日本の南西部にあり、震源地から遠く離れている。生産が減少することはないだろう」とハワード氏は 語った(なお、エルピーダメモリは3月12日、震源地に比較的近い秋田エルピーダの施設で、地震に伴う停電により操業停止が発生したが、13日には通常の オペレーションに回復する見込みだと発表している)。
しかし、Objective Analysisは、半導体需要は、生産施設が操業を停止するかどうかにかかわらず、地震の影響を受けるだろうと指摘している。日本にはエレクトロニクス・メーカーが多く、被災した施設では、復旧するまで半導体が使用されないからだ。
当初の報道によると、地震に伴い、ソニーが日本の北東部にある6カ所の工場で生産を停止しており、震源地に近い地域に施設を持つニコンも、被害を受けたもようだという。
Objective Analysisによると、1999年に台湾を襲ったM7.6の地震では、台北で大きな被害が発生し、新竹地区にある半導体工場で操業が停止した。また、 1989年に米国サンフランシスコで発生したM6.9のロマプリータ地震でも、シリコンバレーの工場が操業停止に追い込まれた。
「Objective Analysisは、できるだけ多くの日本メーカーと連絡を取り、状況の把握に努めていく。だが、今回の地震は巨大であるため、その影響の全容がつかめるまで数日間かかるかもしれない」と、同社は声明で述べている。
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