フェイスブックという現場で起きる「物語」は、歴史に刻まれる大事件ばかりではない。米国のジャーナリストに聞いても、その大きな流れが分かる。フェイスブックに、多くの人が個人的な出来事を書き込んでいる。そこに、人の心を打つような物語が少なからずある。
シャーナはiPhoneを常に握りしめ、出産にあたって様々な事をフェイスブックにアップしていた。フェイスブックのやりとりからは、彼女が子供の誕生を心の底から楽しみにしていたこと、子供が生まれた幸福感を味わっていることが、素直な言葉によって綴られている。それだけに彼女が亡くなった後の、友人や夫からの書き込みは、胸が締め付けられる。
もし彼女が亡くなった後、こうした事実を知って、関係者が取材に応じてくれたとしても、これだけ心を打つストーリーを再現できるだろうか。彼らの間に取材者として立った瞬間に、空間が微妙に歪む。彼女のウォールで交わされた会話は、気を許す人々が作り出す「場」がなければ生まれてこなかった。
記者が好む好まざるに関わらず、ソーシャルメディアは報道に大きな影響を及ぼし始めている。「ソーシャルジャーナリズム」の影響力は間違いなく高まっていくだろう。そして、記者にとって、ネット上のコミュニティーといかに関わっていくか、そのスキルが求められてくる。リアルな現場とネットの現場を行き来しながら、真実に近づき、ストーリーとして綴っていく。ジャーナリズムは今、大きな転機を迎えている。
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