2011年6月3日金曜日

仮想マシンの災害復旧計画

仮想マシン(VM)の災害復旧として広く利用されているジオクラスタリング。その効果は選択したソフトウェアやソリューションに大きく依存する。

 現在、より洗練されたクロスサイト復旧を実現するさまざまなジオクラスタリング製品が利用可能だ。ジオクラスタリングは自動フェイルバックと自動フェイルオーバー、分散DRサイト、Raw Device Modeデータをサポート
し、Virtual Centerを必要としない。

 米Symantecの「Veritas Cluster Services」(以下、VCS)は、物理サーバからVM、VMから物理サーバ、VMからVMへのフェイルオーバーが可能だ。例えば、VCSは保護サイトの物理サーバをリモートサイトのVMに、あるいはその逆方向にフェイルオーバーできる。こうした機能は、米VMwareのソフトウェア「vCenter Site Recovery Manager」(以下、SRM)がデータセンターの
ニーズに応じてサポートしようとしていたものをはるかに超えており、十分検討に値するものといえるだろう。また、VCSはVMフェイルオーバーをサポートするとき、ESXサービスコンソールレベルで実行する。

 「Windows HPC Server 2008」は、もう1つのジオクラスタリング製品だが、サーバからサーバ、VMからVMへのフェイルオーバーしかサポートしていない。また、HPC Serverはローカルとリモートの双方のサイトの
Windowsサーバで実行しなければならないため、サポートするのはWindowsからWindowsへのフェイルオーバーだけだ。

 ほとんどの自動フェイルオーバー機能は、SAN(Storage Area Network)あるいはアレイレプリケーションに大きく依存し、それらのアプローチを組み合わせてフェイルオーバーの自動化を実現している。

 データストアのレプリケーションが行われると、管理者はネイティブなVMwareなどのソフトを利用してVMのフェイルオーバーを独自のスクリプトで半自動化できる。ただし、そのカスタムスクリプティングでは、VMを実行するためのESXサーバの再構成、VMのIP再割り当て、レプリケートされたデータストアのコピーのプロモートなど、一切の作業をカバーしなければならない。

 米EMCの「NetWorker」「CommVault Simpana」、米IBMの「Tivoli Storage Manager(TSM)」、そしてSymantecの「Backup Exec」と「NetBackup」などのデータ保護パッケージは、いずれもさまざ
まなレベルでDRをサポートしている。それらのサポートレベルは、ベアメタルリストアオプションや先進的な独立バックアップデータレプリケーションなどの構成要素によって違ってくる。

 TSMは、TSM保護データをリモートサイトに自動でレプリケートするときに利用できるDRマネージャオプションをサポートしている。TSMがリモートサイトでリカバリされると、データがリストアされ、VMはマニュアル操作か手書きスクリプトによる自動化で再構成される。

 一方、その他のバックアップパッケージは、ベアメタルリストアオプションをサポートしている。この機能は、サーバやVMに必要な全てのデータをワンステップでリストア可能なバージョンで提供できる。VMデータがリストアされると、VMをリモートサイトで実行するために再構成し、ネットワーキングのIPを再度割り当てる必要がある。それが完了すると、VMはパワーオンしてバックアップから復旧される。

 その他、バックアップパッケージはどれもリモートサイトでVMファイルデータの復旧に利用できる。ベアメタルリストアオプションがなければ、全てのVMデータをリカバーするステップ数は増えるが、いったんリストアすれば、その後の災害復旧プロセスは同様の手順で行える。

 VMwareの災害復旧は、さまざまな方法でサポートできる。しかし、どのような自動フェイルオーバーもデータレプリケーションやソフトウェアに大きく依存することになる。

VMware SRMは、ほとんどのVMフェイルオーバーを簡単に自動化できるが、現行では幾つか制約がある
ジオクラスタリングソフトは自動フェイルオーバー機能を提供するが、VCSには適用できず、単一のOSに限定される
SANまたはアレイレプリケーションも利用できるが、半自動フェイルオーバーにはカスタムスクリプトが要求される
 VM DRは単独のアプローチに限定する必要はない。レプリケーションの出費を考えれば、自動フェイルオーバーは幾つかのクリティカルなVMに限られ、他のマシンは自動復旧の対象から外されるだろう。クリティカルなVMは自動復旧、その他はマニュアル復旧といった多階層のDR計画は、上記の製品を組み合わせることで比較的簡単にサポートできる。

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