日本データセンター協会による講演では、企画グループの泓宏優氏が、すぐにでも始められるデータセンターの節電術を紹介した。同協会では節電方法をまとめたマニュアルをWebで一般にも公開している。
重要な情報システムが幾つも稼働するデータセンターは、節電のためとは言え、実際には簡単に止めることができない。「移転するにしても西日本地域にはもう余裕がない。電力使用の状況を可視化して、できるところから節電していくのが現実的な方法」(泓氏)という。
日本データセンター協会は、節電対策を「物理的な設備」「ソフトウェアの機能」「ファシリティ」の3つの点で実施することを推奨している。
まず「物理的な設備」では、可能であればサーバの電源ケーブルをコンセントや電源タップから抜いたり、ブレーカーを遮断したりと、根本的に通電しないようにする。また、配線ケーブルはなるべく取りまとめて通気性を高め、ファンやフィルタを清掃して冷却効率を高める。ベンダーへの確認が必要だが、予備電源系も可能なものは取り外すことが推奨されるという。
また、あまり使用していないサーバなどのオプションのボートを取り外す、HDDからSSDに換装して稼働部分を減らすといった方法もある。ネットワーク帯域の使用を制限することも節電につながる。
「ソフトウェアの機能」では、発売時期が比較的新しいサーバやストレージ製品に搭載されている省電力設定の機能を活用する。多くの製品では推奨の省電力設定が用意されており、これを有効にするだけでも大きな節電効果が見込まれる。また、「パワーキャッピング」という機能がある場合、CPU使用率の上限を低めに設定することで、システムを稼働したままでも一定の節電効果が得られる。
「ファシリティ」では、通常では低めに設定されているマシンルームの室温を最高で40度程度に引き上げる方法がある。機器の動作に影響が出ないようベンダーとの調整が必要だが、室温を高めることで冷却装置の使用電力を抑制できる。このほかにも、室外機の周辺に水を噴霧して気温を下げ、空調機器の効率を高めるといった方法もある。
日本データセンター協会では、会員以外の企業にも自主的な節電を呼び掛けていくとともに、経済産業省に対してデータセンターが安定して稼働できるための施策を要望しているという。
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