2011年6月9日木曜日

データセンターの節電

 震災とその直後に実施された計画停電は、企業のIT環境にも大きな影響を及ぼした。特にデータセンターではサービスの中断など深刻な問題の発生が今後も予想されるだけに、西日本地域へのシステムの移転といった対応に追われているところが少なくない。

 日本データセンター協会による講演では、企画グループの泓宏優氏が、すぐにでも始められるデータセンターの節電術を紹介した。同協会では節電方法をまとめたマニュアルをWebで一般にも公開している。

 重要な情報システムが幾つも稼働するデータセンターは、節電のためとは言え、実際には簡単に止めることができない。「移転するにしても西日本地域にはもう余裕がない。電力使用の状況を可視化して、できるところから節電していくのが現実的な方法」(泓氏)という。

 日本データセンター協会は、節電対策を「物理的な設備」「ソフトウェアの機能」「ファシリティ」の3つの点で実施することを推奨している。

 まず「物理的な設備」では、可能であればサーバの電源ケーブルをコンセントや電源タップから抜いたり、ブレーカーを遮断したりと、根本的に通電しないようにする。また、配線ケーブルはなるべく取りまとめて通気性を高め、ファンやフィルタを清掃して冷却効率を高める。ベンダーへの確認が必要だが、予備電源系も可能なものは取り外すことが推奨されるという。

 また、あまり使用していないサーバなどのオプションのボートを取り外す、HDDからSSDに換装して稼働部分を減らすといった方法もある。ネットワーク帯域の使用を制限することも節電につながる。

 「ソフトウェアの機能」では、発売時期が比較的新しいサーバやストレージ製品に搭載されている省電力設定の機能を活用する。多くの製品では推奨の省電力設定が用意されており、これを有効にするだけでも大きな節電効果が見込まれる。また、「パワーキャッピング」という機能がある場合、CPU使用率の上限を低めに設定することで、システムを稼働したままでも一定の節電効果が得られる。

 「ファシリティ」では、通常では低めに設定されているマシンルームの室温を最高で40度程度に引き上げる方法がある。機器の動作に影響が出ないようベンダーとの調整が必要だが、室温を高めることで冷却装置の使用電力を抑制できる。このほかにも、室外機の周辺に水を噴霧して気温を下げ、空調機器の効率を高めるといった方法もある。

 日本データセンター協会では、会員以外の企業にも自主的な節電を呼び掛けていくとともに、経済産業省に対してデータセンターが安定して稼働できるための施策を要望しているという。

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