2011年3月31日木曜日

TRIZとは

 TRIZとは、ロシア生まれの創造的問題解決理論として、日本では1996年に初めて紹介されました。それ以前にも、さまざまな発想法は存在しています。例えば、アレックス・オズボーン氏が開発した「ブレインストーミング」や「チェックリスト法」、デボノ氏の「シックスハット法」などの欧米的な発想法のみならず、日本でも、中山正和氏の開発した「NM法」や川喜田次郎氏の開発した「KJ法」など、皆さんの企業でも使用されている、もしくは勉強した発想法もあると思います。
 それらは、アイデアを生み出す発想法を心理的な側面から捉えて研究し、手法としたものです。しかし、TRIZの発想の基本にあるのは「特許を主とする科学的知識ベースの援用」なのです。すなわち、先人たちの優れた問題解決の手段を分析し、帰納法的に理論化したものともいえます。比喩的にいえば、「巨人の肩に乗って遠くを見る」という、ニュートンの言葉を思い出します。
 もちろん、自分の問題を解決する答え、すなわちアイデアそのものがそこに存在するわけではありません。自分たちが抱える問題を抽象化することで、考える方向性を示してくれるものなのです。当然、抽象領域での解答は提示してくれます。例えば、「遠くの文字を指すために長い棒があればいいけど、持ち運びが不便だな」という問題を、「移動物体の長さと体積」との二律背反だと抽象化すれば、「入れ子原理を使えばいいよ」と教えてくれます。
 ほかにも、システムが進化するパターンを活用する手法(例:将来の掃除機の構造アイデアを考える場合)や、他業界の知恵を参照にして自分たちが実現したいことのヒントを、新しい視点として与えてくれる手法(例:カッター以外で切断する方法を考えたい場合)などもあります。
 しかし、これらをうまく使うためにはもう1つ忘れてはいけないことがあります。それは、「思い込みをなくして考える」ということです。これをTRIZでは「心理的惰性の打破」といいます。TRIZに限らず、さまざまな発想手法が企業でうまく使えてない最大の理由はここにあるのです。「この考え方は理論的に正しいから」とか、「私の経験上」という言葉が出てきたら要注意! まずは、自分はその道のプロであるという「思い込み」を外すことが大切なのです。

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