2011年3月31日木曜日

システムを構想する上での想像力の限界

 現在、何といっても皆さんが一番心配しているのは、進行しつつある福島第一原子力発電所(原発)の問題だと思う。危険の中で作業されている関係者の方々には本当に感謝しなければならない。当面は直近の危機の回避のための努力に全力が注がれるのだと思う。工学的な原因究明や波及メカニズムの追求、危機を回避できた後の始末をどうつけるかといった対応を本格的に考えることができるのは、まだまだ先ではないかと想像される。多分、確実に一段落付いた後の始末こそ、相当に難儀な問題になるように思われる。

 まだ詳しい状況が分からず、事態も進行中なのだが、現時点でもいくつか認識できる問題点があるように考えられる。その1つに、システムを構想する上での想像力の限界とでもいうべきものがある。端的にいえば、このところ「想定外」という言葉で表されている「概念」である。

 こと「システム」といわれるような工学的な仕組みならば、設計時点で「ここが壊れたらどうだろうか」とか、「予想外の負荷がかかったらどうだろうか」などという「想定」がいろいろと検討されて、その場合の予防措置や対処などが考えられていくものだ。原発のような巨大でクリティカルなシステムはもちろん、組み込み向けの小さな電子装置から、いままた別な問題になっているような決済系のオンラインシステムに至るまで、問題の大小は除いて「システム」すべてに共通している作業だと思う。フェイル・セーフは工業的製品の基本的な概念だから、製品安全性や信頼性を担保するための各種の技法も多々あり、ハードウェアとソフトウェアでいくぶん趣きは異なるが、いずれも設計時点で何度も検討がなされるのが普通だと思う。

 

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