急成長中のスマートフォン/タブレット市場を受けて、Appleの「iOS」、Googleの「Android」に対抗すべく、HPも本格的にこの分野に乗り出しており、スマートフォンの「Veer」「Pre3」に続き、2011年夏に投入予定のwebOS 3.0搭載タブレット「TouchPad」でwebOSの存在感をアピールする構えだ。
ノートPCやeBookリーダー、スマートフォンなど、インターネットに常時接続されたデバイスが複数存在し、目的に応じて異なるデバイスを使い分ける環境では、操作性の共通化や情報の同期が求められる。例えば、ある動画を見たいと思ったときにそのデータがどのデバイスに保存されているのか分からずに探してしまう、あるいは特定のアプリやサービスを利用するために、画面サイズやOSの異なる(つまり操作方法も違う)複数のデバイスを交互に使う、といった煩雑さを体験したことがある人は少なくないだろう。
HPは今後、PCやタブレット端末、スマートフォン、プリンタなど、さまざまなデバイスにwebOSを搭載していくことを明らかにしており、webOSをプラットフォームとしてユーザー体験そのものを統合していこうと考えている。
これはちょうど、Acerが次世代戦略として掲げる「clear.fi」構想に似ている。Acerも世界シェア首位のHPに続く巨大なPCメーカーだが、clear.fiではWindowsとAndroid上で動く独自UIをスマートフォンやPCに提供し、デバイスごとに格納されたデジタルコンテンツをどのデバイスからでも同じ操作感で扱える共通化されたユーザー体験を指向している。
開発者にプラットフォームを提供するということ以外に、iTunes Storeのようなコンテンツ配信ビジネスも視野に入れたものと思われる。実際、HPは2010年に音楽配信サービスの「nuTsie」を展開するMelodeoを買収しており、コンテンツ配信に意欲的な姿勢を見せている。
Acerもすでに音楽や動画、電子書籍などを配信する「alive」の展開を発表しているが、PC市場の世界シェアでトップに名を連ねるメーカーが相次いで独自プラットフォームを展開し、コンテンツ配信ビジネスに乗り出そうとしているのは興味深い。「マーケットは変化している。今はデバイスごとだが、今後はコンテンツでどれだけシェアを取れるかが重要になるだろう」
2011年1月、App Storeからのアプリダウンロード数は100億本を超えた。特にiPadが発売された2010年は、わずか1年間でそれまでの3倍以上にあたる約70億本を積み上げている。一方のAndroidも各社がこぞって搭載端末を投入し、Android Marketは急速に拡大しつつある。モバイル広告やアプリストアによる収益(アプリ販売やアプリ内課金、サブスクリプション)と、モバイルインターネット市場に参入する動機は十分だ。
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