2011年4月4日月曜日

「物の考え方」のフレームワーク紹介「MECE」(2)

まず前回Mr Tanの述べたことが、結局ロジカルだったのかどうかから検証します。

一見、3点それぞれがZ社の良い点を述べており、論理的で正しい推薦理由のように思えたかと思います。その上、「ポイントは3つあります」と、きれいに筋道立っているようですが、実は、全くロジカルではないと言えます。もし、とてもロジカルにものを考える上司がMr Tanのこの論点を聞くと、Mr Tanに対してまずこう聞かれたことでしょう。

Z社を取引きするリスクはあるのか?ないのか?」

Z社と既に取引きしている競合はいるのか?いるならどれだけの利益をあげているのか?」など。

そもそも、Mr Tanが述べたのはZ社の製品がいかに素晴らしいか、ということだけであることを見破られたでしょうか。取引き先として付き合うには、リスクや競合他社の動向、予想される利益、自社製品とのシナジーなどを知らなければ、会社経営はかじ取りのいない船になってしまいます。つまり、この例でいくと、Mr TanZ社を推すに足る根拠を挙げきれていない「モレ」のある状態、MECEMutually Exclusive and Collectively Exhaustive)の状態になっていない、といえます。

では、Mr Tanはロジカルシンキングに不向きだからロジカルに考えられなかったのでしょうか?ロジカルシンキングは才能に依存し、不向きな人がそれを伸ばすことは難しい、と誤解されることが多いのですが、実はそうではありません。

ロジカルシンキングは才能ではなく、ある種の技術である、と我々は考えています。確かに多少の得意・不得意は見られますが、体系立てて学び実践することで、技術を体得することは十分可能です。

そこで、今回は前回のMECEを使った応用編です。キーになる言葉は「So What?」「Why So?」です。先ほどのMr Tanはなぜ上司から「モレがある返答」と思われたのかも是非考えてください。

左図のように結論と根拠を結び付ける際、必ずそこに関連性がないと「論理的に正しい」といえません。会議で、根拠ばかりが意見として出たら、そこで終わらず「それで?」(So What?)と考える習慣をつける、また逆に結論が先に出る議論の場では、「なぜそうなのか?」(Why So?)を考えることによって、議論全体を俯瞰した内容となり、その場にいる全員が同じフレームワークの中で同じ理解をするという効率的な会議運営の一端を担うことができるひとつのツールです。

 

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