なぜアプリは停止状態に陥ってしまったのか。その理由を、本誌が複数の関係者に取材したところ、どうやらアプリの内容ではなく、管理するフェイスブックのIDに問題があった可能性が高いことが判明した。
アプリを制作して管理するには、フェイスブック上で担当者のIDを管理者として登録する必要がある。今回の"事件"では、アプリを管理するためだけの専用IDを新たに設けて、管理者として登録。そのIDを複数の担当者で利用していた可能性がある。
管理専用のIDであるから、当然、フェイスブック上の友人は1人もいない。にもかかわらず頻繁にログインしてアプリを管理している。
このことから、このIDは生身の人間が利用しているのではないと判断され、機械的に停止されたようだ。管理者のいなくなったスゴイ自販機も、結果として停止に追い込まれたものとみられる。
こうした事態を招かないためにも、フェイスブックページやアプリを管理する担当者は、普段から使っている本人IDを管理者として登録した方がよい。
頻繁な仕様変更にとまどう
フェイスブックは頻繁に機能が変更されており日々進化している。目覚しいスピードで開発が進み、使い勝手が向上する一方で、その変更があまりに突然なため問題が起こることもある。
ここ最近で大きな仕様変更が相次いだのが2月上旬だ。まず、以前は「ファンページ」と呼ばれていた、企業やアーティストなどのページの名称を「フェイスブックページ」と改めた。これに合わせページのレイアウトも変更になり、Webサイトのようにメニューがページの上部に並ぶデザインから、個人アカウントと同様に左側にテキストで表示されるデザインに変わった。
名称変更と同時に、管理方法も変わった。それまでファンページ(現フェイスブックページ)を管理するには、個人のIDを管理人として登録して、その個人IDでファンからのコメントに返答するなどして管理をしなければならなかった。
名称変更後は、フェイスブックページ名義でコメントへの返信などができるようになった。担当者は自身のアカウントを明かすことなく、フェイスブックページを管理できるようになったわけだ。
企業にとって朗報ともいえるこうした情報も、フェイスブックサイドから適切に提供されているとは言いがたいのが現状だ。
また、フェイスブックページに独自のコンテンツを追加するには、ゲームなどのアプリを開発するか、あるいは「FBML」(エフ・ビー・エム・エル)と呼ばれるフェイスブック専用のプログラミング言語を使ってプログラムを書いて、ページを制作しなければならなかった。フェイスブックは、このFBMLを3月11日に廃止すると2月11日に発表した。
その代わり、Webサイトを制作する際に標準的に使われる「HTML」の「iframe」(アイフレーム)機能を採用した。これによって、ほかのサイトにあるコンテンツをフェイスブックページ上に表示できるようになっている。例えば、キャンペーン用のWebページをiframeでフェイスブックページに表示して、フェイスブック上のファンに告知するといったこともできる。
廃止前にFBMLで制作されたコンテンツは引き続き利用できることになっているが、追加の開発はできなくなる可能性が高い。そのコンテンツが自社サイトなどにあれば、iframeを使ってフェイスブックページに表示するだけで済むが、そうでない場合には新たに作り替えなければならない。
大きなレイアウト変更があったり、発表からわずか1カ月程度でFBMLが廃止になったりするなど、急激な変化が頻繁に起ったのでは企業としては使いづらい。企業は、これらリスクを十分認識した上でマーケティングに活用する必要がある。また、こうしたリスクを軽減していかないと、せっかく利用者の増加にも弾みがついているところだけに、フェイスブック自身が冷や水を浴びせかねない。
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