"リーダーシップ"の姿を、以下の9つの言葉に集約してみた。 危機の下で、組織のトップ、現場のリーダー、現場で作業に当たった人、一般国民、諸外国、それぞれに求められたものは何であったか、その中で、それそれがどのように行動したかを、そして「自分なら本当にどうできただろうか」を以下の言葉から考えてみていただければと思う。「〜すべき」論をいくら述べてみても自分に力は付かない。
ノブレス・オブリッジ(フランス語)——貴族の責任:たとえ平常時には大したことはしていなくても、「いざというときには、領民(国民)を守るために身を挺して戦う」というエリートに求められる責任感・規範。
覚悟:「矢面に立ち、逃げない覚悟」が、周囲のやる気と信頼を生む。「最悪のケース」を覚悟すればそこから余裕が生まれる。逆に自分の目先の都合から事態を軽く考えようとすれば、事態の悪化に伴いどんどん追い詰められていく。
他人に任せる器量:己を知り、他人を信じられる心。
気づき・心配り:前もって自治体に退避の勧告の連絡がなかったため、首長は住民への説明ができずに困り、現場は大混乱した。「放射能汚染水の海への放流」は、水産業を監督する農林水産省にも、近隣諸国にも連絡しなかった。外国からの抗議に対し「国際法上問題ない」と言う大臣がいた。外国の政府は「自国民に説明できるようにしてほしかった」のだと私は思うのだが。5月のサミットの最大の話題は「日本の復興」だが、政府の「復興構想会議」の中間答申は6月だという。世界から大いに失望を買うだろう。
冷静・辛抱・広い視野:ある人は現状を、「全員がボールに群がり、リーダー自らシュートを狙う"少年サッカー"のようだ」と言う。司令塔も、ゴールキーパーも、冷静に全体を見る監督も見当たらないという意味のようだ。マネージャは最終判断をしなくてはならない。全体が見えなければ判断を誤る。安全圏に身を置いて怒る上司は、現場で頑張る部下にとって最悪の姿に映る。
率先垂範・使命感:現場を預かる指揮官に必須の規範。
言語力と情報公開:いろいろの背景/価値観/利害関係を持つ人(ステークホルダー)に、同じ言葉で理解、納得させる言葉選び/言葉使い。「嘘やあいまいさ」「言わないこと」が内外から不信と不安を呼ぶ。
タイミング:いかに良い内容でも時期を失せば弊害だけになる(注1)。
人間としての心:大きな危機に対し、世界中の人が、また日本の国民が連帯できることを示した(注2)。将来への一条の光だ。その一方で、買い占め、被災地から来た人への差別的言動、停電に対する一部の都市生活者の利己的な発言など、大変残念な事もあった。
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