2011年5月30日月曜日

「Skypeは真剣に考えるべき存在」になった

 Skypeはこれまで、"コンシューマー専用"という世間のイメージを変えようと努め、エンタープライズ分野に足掛かりを築いてきた。一方、ユニファイドコミュニケーション(UC)の専門家は受け入れに二の足を踏み、エンタープライズSkypeの採用を避けるべき理由として、品質、安定性、セキュリティ、サポートなどの不安を常に口にしてきた(参考:モバイルワーカーのSkype利用は是か非か)。しかしこの状況は、Microsoftが85億ドルでSkypeを買収したことにより、劇的に変化しそうだ。

 これまでは懐疑的だった企業も、エンタープライズUCにおけるMicrosoftの影響力のおかげで、インターネットVoIP/ビデオ会議ツール提供企業としてのSkypeにあらためて目を向けている。

 アシシュ・クドシア氏は、インドにいる両親との音声通話やテレビ電話のためにSkypeを使うことにためらいはない。しかしビジュアルプロジェクタメーカーChristie Digital SystemsのグローバルITディレクターと
いう立場では、ChristieでSkypeをサポートしてほしいというエンドユーザーからの要望に抵抗してきた。AT&T、AMC Theaters、Pixar Animation Studios、Sony Pictures Studios、そし
てMicrosoftなどの大手を顧客に持つ同社のビデオ品質基準は極めて高い。

 「真剣に考えてほしいという要望は数えきれないほど来ていた。拒みたくはなかったが、ビジネス用にはCisco SystemsのWebExがあり、われわれはずっと前からWebEx(参考:強固な
セキュリティとモビリティを両立させるWeb会議システムの雄「WebEx」)を広範に使ってきた。(出張中に個人的に使いたいという)要望のためにWebExを放り出すことはできない。これはビジネスツールであり、『理解はできますが、(Skypeに)賭けることはできません』という立場だった」とクドシア氏は打ち明ける。

 結果として同氏は、ニーズに応えられる別のデスクトップビデオ会議製品を検討していた。しかしレガシー製品のMicrosoft Office Communications Server(OCS)をMicrosoft Lync Server
2010にアップグレードする準備をしていた矢先、MicrosoftとSkypeが合併するかもしれないとのニュースが流れ、クドシア氏のロードマップに待ったがかかった。

 「Skypeに対抗できるものを(検討していた)が、MicrosoftがSkypeをどうするか見極めたいと思い、当面は導入を見送ることにした。Microsoftの計画を見極めるために、まだ6~9カ月待つことはできる。Skypeは間違いなく真剣に考えるべき存在へと進化してきたと思う」

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