2011年6月10日金曜日

クラウド&スマホ時代、運用管理の在り方を再考する

 近年、多くの企業にクラウドサービスが急速に浸透しつつある。一方で、最近はiPhoneやAndroidといったスマートフォンの個人利用、企業導入も着実に進んでいる。

 クラウドサービスとスマートフォン、一見、直接関係のなさそうな、この2つのテクノロジ・トレンドだが、この組み合わせには巨額の資金が投入され、多様なサービス、製品が開発されている。読者の皆さんの中でも、すでにどちらか、あるいは2つを無意識のうちに組み合わせて利用している人は多いのではないだろうか?

 例えば、個人の利用シーンでは、EvernoteやDropboxといったクラウドサービスをスマートフォンで利用するのは、もはや珍しいことではなくなっている。企業における活用シーンを考えても、情報共有ツールなどのクラウドサービスをスマートフォンで使うことによる業務効率化や、東日本大震災以降、特に注目を集めている事業継続性の確保という面でも、これらの組み合わせには大いに期待できる。

 では、この便利な2つのテクノロジ・トレンドを業務基盤として活用する上では、何がポイントとなるのだろうか?——

 クラウドサービスとは、IT資産を自社で「所有する形態」から、外部のクラウドサービス業者の所有するIT資産にネットワークで接続することで、「利用する」形態に置き換えるサービスである。自社で資産を持たず、調達の時間を意識せず、すぐに利用できる点が特徴だ。一方、スマートフォンは、「持ち歩ける」という機動性と、従来の携帯電話端末よりも格段に使いやすい専用アプリケーションを開発・利用できる点が特徴と言える。この点が「企業内の業務端末」として期待されるゆえんだろう。

 このクラウドサービスとスマートフォンにより、「自社で管理しているサーバと、ノートPC・モバイルデバイスを使って行ってきた業務処理」を、より効率的かつ安価に利用できるようになる。では、これは具体的にはどういうことなのか?

 クラウドサービスとスマートフォン、ともに「思い立った時点で導入し、すぐに効果的に活用できる」というものではない。 導入を検討する際は、従来と同様に、まずは既存の社内システムを棚卸しすることが求められる。

 棚卸しによって、社内システムの利用状況や投資コストを洗い出してみると、実は、今まで有効に利用されていると思っていた社内システムが、導入当初の目論み通りに利用されておらず、「運用コストを掛けている割には、導入効果が上がっていない」ケースが見えてくることが多いのである。

 例えば、グループウェアや営業日報のシステムが「社内のPCからしか利用できない」といったケースが見えてくるはずである。また、棚卸しによってポイントを把握すれば、「これらを出先、あるいは移動時間中に操作できるようにしたい」といったニーズも掘り起こせることだろう。こうした点がクラウドサービスやスマートフォンの導入のポイントなのだ。

 まずは「今、自社にはどんなシステムがあり、どのように利用されているのか」を把握する——こうした"システム活用の基礎"はどんな時代になっても変わらない。むろん、これには「手軽に導入できる」がゆえの無駄な投資を抑制する、という意義もある。

 だが、クラウドサービスとスマートフォンを活用する際の課題は、これだけではない。 「クラウドサービス・スマートフォンのセキュリティ対策」「クラウドサービス、スマートフォンと社内システムの連携」「個人所有のスマートフォンの業務上の利用ポリシー」などなど、考えなければならないテーマはさまざまである。

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