例え過去実績のおかげでリピートしているという取引でも、数ある競合と比較して、他社を選ばずに、自社の商品を選んでくれている理由を明確に認識していなければ、やはり競合に足元をすくわれます。実績のない競合が新規でアプローチするときは、自社の強みは同等にカバーできて、自社の弱みに競合の強みをぶつけて、攻めてくるからです。上司である管理者は、お客様との関係性や優位性を、明確に認識して囲い込むよう指導しなければいけません。
営業力の土台となる事業の定義は、「エーベルの3次元」を活用すると3つの軸で表現します。「どういうお客様(WHO)に、どういう価値(WHAT)を、どのように(HOW)買っていただくか」を明確にすることです。
A.WHO(お客様との関係性)
B.WHAT(お客様に期待される価値)
C.HOW(提供方法)
上記の3つの軸に営業の焦点を考えると、営業スタイルは3つのモデルに分類されます。
決して単純に、薄利多売効率化型が簡単で、高付加価値深耕型が高度というわけではありません。これはお客様に求められる価値によります。高付加価値深耕型は組織・個人の技術力や問題解決力を求められますが、薄利多売効率型は組織の効率的仕組み、安く提供できるパターン化、広いターゲットに対応できる体制が求められるからです。
競合がひしめく中で、2番目以下は選ばれません。中途半端、あいまいな強みは意味をなしません。お客様はその会社の卓越した強みとしか付き合わないからです。競合との比較でどれだけ明確に優位性をお客様に認識していただけるかがビジネスでの勝負となります。お客様から評価されている自社の強みは何か、何を優位性として、独自のポジショニングをつかむかを考えることが重要です。
業界標準が効率性や安さで認識されていれば、さらに磨きをかけて、追従を許さないナンバーワンのポジションをつかむ。その1点で戦わないのであれば、複数の総合力か、焦点をずらして差別化して、柔軟性や対応力や、高い問題解決力を強化して、深く入っていくスタンスをとる。
業界標準が複雑に高度な技術力や問題解決力を前面に出していれば、パッケージ化して安く手軽さを売りにする。市場のすべてのお客様を相手にするわけではないので、分かりやすく、優位性あるポジショニングをつかむ。この3つのモデルに沿って、営業の焦点をずらしていくことが営業変革の基本パターンです。
売れるものが見えなければ、営業成果が上がらないのは当然です。市場を見据えて、広さと深さを変えて、競合を意識した相対的な強みを生かせるポジショニングをいち早くつかんでいく。そして営業の焦点を変えて営業戦略・営業計画に盛り込んでいく。営業が、お客さまに自信を持って、商品サービスをご案内できるようにする。そのために、営業現場の属人的な個人力に頼るのではなく、売れる仕組みを創っていくことがまず最初にしなければならない営業変革です。
このことは、事業そのものを強化することであり、全社一丸となって優位性のある商品力を生み出す活動と連動させることになります。そして、組織運営や人材育成、マネジメントに整合性を持たせ、全体最適で一貫性を持たせて強化していくのが強い事業の作り方なのです。
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