特徴の一つは、仕様がオープンであること。電子書籍のフォーマットには、EPUBのほかにXMDFや.book、PDFなどがある。これらはもともと、シャープ、ボイジャー、米アドビ システムズが開発した。こうした仕様は開発したベンダーが中心になって決めることが多い。一方のEPUBは、電子書籍にかかわる多くの企業からの意見を基に仕様が決められている。なお現在では、XMDFは国際電気標準会議(IEC)で、PDFは国際標準化機構(ISO)でそれぞれ標準化されている。
EPUBは、Webサイトのコンテンツの記述に使われるHTMLをベースにしている。XHTML(XMLに準拠したHTML)形式で記述されたファイルと、ページの統一デザインを決めるCSSファイル、これに画像、音声、動画、フォントといったファイルなどをZIP形式でひとまとめにする。このため、単なる紙の本を電子化するだけでなく、音声や動画を使ったマルチメディアコンテンツとしての配信も可能になっている。
XMDFや.bookもタグを使うHTMLやXMLをベースにしたフォーマットである。EPUBを含めたこれらのフォーマットでは、ユーザーがビューワーソフト上で好みに合わせて文字フォントのサイズや行間などを指定できるというメリットがある。このとき、設定に応じてテキストを流し直す処理を施しており、こうした機能を「リフロー」と呼ぶ。こうした長所の半面、EPUBは複雑なレイアウトを作りづらい。ユーザーが指定した設定によってはレイアウトが大きく崩れて読みにくくなることもある。
これに対して、パソコンの文書配布の形式として広まったPDFは通常、フォントサイズや行間を変更できない。文字を大きくしたり小さくしたりするときは、レイアウトを維持したまま、ページ全体を拡大/縮小するようになっている。その一方で、複雑なレイアウトのページを作りやすい。
現在主に使われているEPUBのバージョンは2.0.1である。このバージョンでは、縦組みに対応しないなど、日本語で利用しにくい面がある。しかし、次バージョンの3.0では縦組みやルビ、縦中横(縦組みの文に「21」といった複数けたの数値や、長さを表す「cm」を横書きで入れること)など、日本語独自の表記ルールをサポートしている。
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