もしうまくいけば、MicrosoftとSkypeの合併によって自分も気が変わるかもしれないとワグナー氏は言う。しかし今回の買収はむしろ、Microsoftが(Googleに対抗する意味も含めて)コンシューマーを意識した動きであることは同氏も認識しており、Skype法人事業部のSkype Enterpriseが存続されるかどうか不安を抱いているという。
「Microsoftはエンタープライズに長けており、一方Skypeの弱点はエンタープライズにある。結局のところ、まだどうなるかは分からないが、これはエンタープライズにおけるSkypeの終息にもなり得るし、必要としていた助力にもなり得る」とワグナー氏。同氏はOCSもLyncも導入していない。
Wainhouse Researchのシニアパートナー、アンドルー・デイビス氏は、Microsoftが後ろ盾に付けばUC専門家の間でエンタープライズSkypeの採用に向けた信頼感が高まるかもしれないと予想する。ただしこれはLyncとの適切な連係に成功することが前提だ。
デイビス氏は言う。「Skypeは常に、反抗的な態度あるいは性格を持っていた。創業当時に言った言葉が『さあ、フリーボイスを使おう! きっと世界中のキャリアがカンカンになるはず』だった。しかしMicrosoftは違う。彼らは恐らく、企業にとってずっと親しみやすい存在になるだろう」
一方で、MicrosoftとSkypeの合併には興味をそそられるが、エンタープライズSkypeの今後の普及にそれがどう影響するかは分からないと見るUC専門家もいる。
ボストン子ども病院でメッセージング/コラボレーションのチームリーダーを務めるスコット・ボルサー氏はOCSサーバをLyncにアップグレードしている。MicrosoftがLyncのデスクトップビデオ会議クライアント改良のためにSkypeの技術をどう使うかは「興味深い」と話す。
Lyncのデスクトップビデオ会議クライアントでは、マルチポイントコールの中でアクティブな発言者のみを表示する。しかしボルサー氏によれば、ユーザーはセッションの間、参加者全員を見たいと思っている。他社のビデオ会議製品にはこの機能を有効にできるものもあるが、追加投資はしたくないとボルサー氏。そこで同氏はWebおよびビデオ会議用にAdobe Connectを導入した。
「Lyncのビデオ会議は相当改善の余地がある。Skypeの持つ知的財産がその一助になればと思う」とボルサー氏。
多くのIT組織にとって、Lyncを通じてSkypeの何百万ものユーザーにアクセスできることは大きなセールスポイントになりそうだ。しかしボルサー氏は、他の病院や研究所とLyncで連携することに興味はないという。
「ここにもまだSkypeのユーザーはいるが、そうしたユーザーには、われわれが所有しセキュリティもコントロールしているAdobe Connectプラットフォームへの切り替えを促す。もし(MicrosoftがSkypeの技術を使って)Lync製品に付加機能を組み込めば、オンプレミス製品ではなくSaaS(Software as a Service)製品として、Lyncは衰退せずにより良い製品になるだろう」(ボルサー氏)
Nemertesが数年前に実施した調査では、企業のIT専門家の約40%がセキュリティ上の懸念からSkypeを遮断していることが分かったとラザー氏は指摘する。エンタープライズSkypeにまつわるそうした懸念は解消されたが、ボルサー氏のようにMicrosoftが合併を成功させられるかどうか危惧するUC専門家が増えているという。
「(企業はSkypeにまつわる)そうした不安をある程度克服してきたと思う。耳にすることが増えたのは、『Microsoftは(買収した企業を)取り込むことに関してあまり評判が良くない』という不安の声だ。それが企業から聞こえてくる最大の懸念であり、Microsoftはこれを払拭しなければならない」とラザー氏は話している。
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