2011年6月2日木曜日

SkypeとMicrosoftの合併は企業に何をもたらすのか?

 ネット通販を手掛けるePromos.comのインフラマネジャー、デービッド・ワグナー氏は、デスクトップビデオ会議を「Skype Business Version」で標準化し、レガシー電話システムをSkypeに接続するためのゲートウェイ「VoSKY」を導入した。同社はスモールビジネスだが、Skypeがスケールアップして大企業の需要に応えようとする可能性もあるとワグナー氏は危惧する。

 もしうまくいけば、MicrosoftとSkypeの合併によって自分も気が変わるかもしれないとワグナー氏は言う。しかし今回の買収はむしろ、Microsoftが(Googleに対抗する意味も含めて)コンシューマーを意識した動きであることは同氏も認識しており、Skype法人事業部のSkype Enterpriseが存続されるかどうか不安を抱いているという。

 「Microsoftはエンタープライズに長けており、一方Skypeの弱点はエンタープライズにある。結局のところ、まだどうなるかは分からないが、これはエンタープライズにおけるSkypeの終息にもなり得るし、必要としていた助力にもなり得る」とワグナー氏。同氏はOCSもLyncも導入していない。

 Wainhouse Researchのシニアパートナー、アンドルー・デイビス氏は、Microsoftが後ろ盾に付けばUC専門家の間でエンタープライズSkypeの採用に向けた信頼感が高まるかもしれないと予想する。ただしこれはLyncとの適切な連係に成功することが前提だ。

 デイビス氏は言う。「Skypeは常に、反抗的な態度あるいは性格を持っていた。創業当時に言った言葉が『さあ、フリーボイスを使おう! きっと世界中のキャリアがカンカンになるはず』だった。しかしMicrosoftは違う。彼らは恐らく、企業にとってずっと親しみやすい存在になるだろう」

 一方で、MicrosoftとSkypeの合併には興味をそそられるが、エンタープライズSkypeの今後の普及にそれがどう影響するかは分からないと見るUC専門家もいる。

 ボストン子ども病院でメッセージング/コラボレーションのチームリーダーを務めるスコット・ボルサー氏はOCSサーバをLyncにアップグレードしている。MicrosoftがLyncのデスクトップビデオ会議クライアント改良のためにSkypeの技術をどう使うかは「興味深い」と話す。

 Lyncのデスクトップビデオ会議クライアントでは、マルチポイントコールの中でアクティブな発言者のみを表示する。しかしボルサー氏によれば、ユーザーはセッションの間、参加者全員を見たいと思っている。他社のビデオ会議製品にはこの機能を有効にできるものもあるが、追加投資はしたくないとボルサー氏。そこで同氏はWebおよびビデオ会議用にAdobe Connectを導入した。

 「Lyncのビデオ会議は相当改善の余地がある。Skypeの持つ知的財産がその一助になればと思う」とボルサー氏。

 多くのIT組織にとって、Lyncを通じてSkypeの何百万ものユーザーにアクセスできることは大きなセールスポイントになりそうだ。しかしボルサー氏は、他の病院や研究所とLyncで連携することに興味はないという。

 「ここにもまだSkypeのユーザーはいるが、そうしたユーザーには、われわれが所有しセキュリティもコントロールしているAdobe Connectプラットフォームへの切り替えを促す。もし(MicrosoftがSkypeの技術を使って)Lync製品に付加機能を組み込めば、オンプレミス製品ではなくSaaS(Software as a Service)製品として、Lyncは衰退せずにより良い製品になるだろう」(ボルサー氏)

 Nemertesが数年前に実施した調査では、企業のIT専門家の約40%がセキュリティ上の懸念からSkypeを遮断していることが分かったとラザー氏は指摘する。エンタープライズSkypeにまつわるそうした懸念は解消されたが、ボルサー氏のようにMicrosoftが合併を成功させられるかどうか危惧するUC専門家が増えているという。

 「(企業はSkypeにまつわる)そうした不安をある程度克服してきたと思う。耳にすることが増えたのは、『Microsoftは(買収した企業を)取り込むことに関してあまり評判が良くない』という不安の声だ。それが企業から聞こえてくる最大の懸念であり、Microsoftはこれを払拭しなければならない」とラザー氏は話している。

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