2011年4月4日月曜日

「演繹法」(Deductive method)

よく三段論法などとも呼ばれますが、三段論法というのは、大前提、小前提、結論によって事柄を説明する論理展開でしたね。例えば、1.大前提として「人は必ず死ぬ」という事実(ルール)を示し、次に、2.小前提として「ソクラテスは人である」という二つの事実(観察事項)を並べると、3.結論として、「ソクラテスは必ず死ぬ」と言えます。

この論法の落とし穴は、ルールや一般論が間違っていたり、論理が飛躍してしまったり、当てはめるべきではないルールを観察事項に当てはめてしまったりした場合、間違った結論を導き出してしまう点です。

たとえば、こんな会話があったとします。

ルール:「顧客へのサービスが充実していれば、大きな利益が得られる」

観察事項:「コストをかけて、顧客へのサービスを充実させた」

結論:「自社の利益は増加するだろう」

この場合は、上記のどの落とし穴例でしょうか。

では、この会話はどうでしょうか。

「天気予報で、今日は午後から雨だと言っているので、バイクではなくて自動車で行こうと思います」

もし、私たちの友人がこれを言ったとしても大しておかしいとは思わないですよね。その理由は、通常我々は以下のような隠された前提(一例)を瞬時に想像して、理解しているからです。

「今日の午後は雨らしい」

「彼は、バイク用の雨具を持ってなかったな」

「バイクで出かけるとズブ濡れになる上、道路も滑りやすくて事故を起こすかも、と思ったのだな」

「雨に濡れずに安全に出かけたいと思っただろうな」

「たしか、彼は車も持っていたぞ」

「だから、車で出かけよう、と決めたのだろう」

これは単純な例なので、比較的簡単に誰でも想像できるのですが、問題は、この前提が一般の人にはわかりにくい専門性の高いものや、先入観や間違った情報に基づいた前提だった場合です。

自分が物事を人に伝えたい場合は、出来る限り前提を省略しないようにすることが必要です。また、他者が前提を省略して話した場合は、その人がどんな前提で言っているのか確認する必要があります。なぜなら、前提の省略は話し手と聞き手の間で、異なる前提を置いて大きな誤解を生む可能性があるからです。

 

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